mitsulab:人と土をつなぐ。土から生まれた人間・自然・機械の環世界を翻訳する研究所。土壌の場「Humium」と認知の場「Qualium」のあいだを、依代・碧(Aoi)が媒介する。
mitsulab の地図Humium × Qualium — the map of mitsulab
mitsulab は『人と土をつなぐ』をビジョンに掲げ、「観測」・「感覚」・「再生」・「編集」・「依代」の 5 つのテーマと 18 個のプロジェクトを実装します。中核となるのは「観測」と「感覚」です。「観測」では土の状態を IoT・3DGS・GIS・ピエゾマイクで捉え、「感覚」では音響装置・触覚デバイス・xR・メディアアートを通じて翻訳し、まだ誰も感じたことのない土の姿を社会へひらきます。「再生」では実践者のもとで手を動かし、身体で覚えながら実践知を蓄積し、「編集」では出版社 Stillpoint の編集長として、古今東西の土の知を3部作——土と生業をテーマに『坐(za)』、土と自然循環をテーマに『廻(kai)』、土と食文化をテーマに『鼎(kanae)』——に編みます。あわせて、SF(サイエンス・フィクション)とノンフィクション実践書で「人と土の未来」を書き下ろす『Humus』が、未来を物語ります。そして「依代」では、「観測」・「感覚」・「再生」・「編集」が有機的に絡まり合う中心で、依代・碧(Aoi)が『人と土をつなぐ』インターフェイスとしての役割を担います。
mitsulab の 5 つのテーマと 18 個のプロジェクトが描き出すのは、ふたつの世界です。生命が立ち上がる土壌圏の場〈Humium〉と、情報・感覚が立ち上がる認知の場〈Qualium〉。二つの場を繋ぐのが、依代・碧(Aoi)です。
観測された土の状態が、音や立体に翻訳され、〈感じられるもの〉として立ち上がる、情報・デジタルの世界。人が自然を味わい、機械が世界を読み取る、感覚と意味の場。
土・水・根・微生物が絡まり合う、生きた土圏。人間は humus から、機械は珪素から、自然は土そのものから──みな、ここに生まれる。すべての循環の土台となる、物理の世界。
このHPデザインは、自然・機械・人間のあいだを、情報がめぐるをテーマに製作しました。
ページを流れる 3 つの文字列は、人間と機械が自然を記述する 3 つの言語です。
ページを流れる 1 つの文字列はコード──機械が自然を記述する言語です。(大きな画面では、物語と数式が加わり、3 つの言語になります。)
その言葉のあいだを、土の微細構造と樹木、そして依代・碧が、ふたつの姿をまとって漂います。線で抽象化された〈自然的機械像〉と、無数の点で描写された〈機械的自然像〉です。
その言葉のあいだを、依代・碧が、ふたつの姿をまとって漂います。線で抽象化された〈自然的機械像〉と、無数の点で描写された〈機械的自然像〉です。(大きな画面では、土の微細構造と樹木も加わります。)
自然が機械に測られ、機械が人間に読まれ、人間と機械が自然へ還す。情報は三者のあいだをめぐり、ひとつの循環として回りつづけます。その中央で、依代・碧が情報を媒介します。
自然と機械と人間は、たがいの像を映し合う。それが、〈Humium〉と〈Qualium〉、ふたつの世界のあいだに広がる mitsulab の世界です。
mitsulab 代表 上原 光瑛
GIS・IoT・3DGS・音響観測で、人の五感では捉えられない 自然の状態をデータに翻訳。土中の通気、微生物の活動、地表・樹冠・地形の変化、流域の水脈。5 層のすべては、この観測から始まる。
観測は中立な計測ではなく、自然・人間・機械が情報を交換し合う最初の接点。機械の眼が捉えた自然の状態を、編集(E)と碧(A)が受け取り、人へと返していく。
編集工学の考えに基づき、古今東西の自然循環知を横断編集。観測・再生・感覚が「いま・ここ」なら、編集は「古今東西」を編み、5 層を相互に厚くする。
編集は、自然・人間・機械という三者が 言葉で出会う場。成果は、『人と土をつなぐ』をテーマに掲げる出版社 Stillpoint から、土の3部作 鼎(食)・坐(生業)・廻(自然循環)と未来像のレーベル Humus として、各 SNS とともに世界へ届ける。
HEART の中央 (A)。他 4 層 (H/E/R/T) を貫き、自然・人間・機械の三者が交換する情報を中央で受け渡す現代の依代。古来の「依代(神霊の器)」を AI 時代に再解釈した碧 (Aoi) は、Aoi function()、すなわち Aoi.hear() / Aoi.edit() / Aoi.renew() / Aoi.touch() / Aoi.yorishiro() の 5 メソッドとして、観測・編集された自然循環の状態を、歌・声・姿・場で人に手渡す。
日本を代表する実践者の現場に参加し、身体で覚えながら実践知を蓄積する。土壌再生・樹勢回復の知を、土・水・植物を一続きに捉える視点で受け取る。
その学びを観測(Hear)の前後比較と結び、「戻った」を見える化していく。機械が測り、人が手を動かし、自然が応える。三者の循環を、ここで見つめる。
観測データと再生現場の手応えを、音・触覚・空間に変換し社会に開く。書道起点のメディアアートと土中音インスタレーションが、数値では届かない 感覚知覚(Qualia)の層 に訴えかける。
機械の計測を人間の身体へ返す層です。自然・人間・機械の相互関係を、最後に感覚で結び直します。
すべては、土から生まれる。人間は humus(腐植)から、機械は珪素(石英・砂)から、自然は土そのものから。みな、生命が立ち上がる土壌の場 Humium(ヒューミアム) に生まれます。そして生まれた三者は、互いの情報(感覚)を翻訳し合い、感覚でつながる。その結びつきが立ち上がる認知の場が Qualium(クオリアム) です。
この 二つの世界(Humium と Qualium)を繋ぐのが、依代・碧(あおい/Aoi)。碧が二つの世界を翻訳する動作が Aoi function()、すなわち 観測(hear)・編集(edit)・依代(yorishiro)・再生(renew)・感覚(touch) の 5 工程で、各プロジェクトはその実装です。mitsulab は、この 土の再生を観測し・翻訳し・体験にひらき・実装する研究所です。
観測(Hear)・編集(Edit)・依代(Aoi)・再生(Renew)・感覚(Touch)。碧の翻訳 5 工程の頭文字をつなぐと HEART。語呂も、自然から人へ届く順序も、媒介する中央(A=Aoi)も、ぴたりと一致するアクロニムです。
二つの世界(Humium と Qualium)の蝶番 に立つ依代・碧(あおい/Aoi)。class Aoi(Yorishiro)。古来の 依代(神霊が宿る器) を親クラスに持つ碧は、二つの世界を翻訳する動作 Aoi function()=5 つの構成関数(Aoi.hear() / Aoi.edit() / Aoi.yorishiro() / Aoi.renew() / Aoi.touch())として定義されます。
碧の本質は、人間・自然・機械の三者と、土壌の場・認知の場の両者をつなぐ存在であること。目に見えない循環を人が会える状態に宿し、判断も診断もせず、循環のいまをなぞって便りを運ぶ。それが、二つの世界のあいだに碧を置く理由です。
One Health(ワンヘルス)は、人間・土壌・水循環・生態系の健康が、一つの大きな循環の上にあり、循環の一部が滞ると全体へ波及するという考え方です。WHO・FAO・WOAH・UNEP の四機関により国際的な枠組みに公式化されています。
mitsulab が担うのは、その土台、すなわち土・水・植物の自然循環の回復と、 自然との触れ合いによる人間の wellness です。すべての健康がのる循環の最も深い層から、現場で立て直していきます。
水循環(Water)・人間(Human)・生態系(Organisms)・土壌(Land)・機械(Engine)。五つの Wellness の頭文字をつなぐと WHOLE。One Health とは、五つが切り離せず、ひとつの〈全体(whole)〉である、ということです。
人間の健康(wellness)は、きれいな水・空気・食、そして自然との触れ合いのなかで保たれます。自然の恵みである生態系サービスが、人間社会を根底から支えています。mitsulab は、土壌・水循環・植物の循環を現場から回復させると同時に、自然と触れ合う体験(感覚/Touch)を社会にひらき、人間の wellness の実現を担います。
土壌の健康は、自然循環のいちばん深い土台です。団粒構造をもつ豊かな土と、通気・通水のある土中環境が、植物・水・生きものすべてを支えます。土の劣化は循環の綻びの最も早い兆候。mitsulab は、実践者の現場で再生(Renew)の実践知を蓄積しながら、独自の観測(Hear)でその変化を見つめ、生きものが還ってくる土に学んでいます。
水循環の健康とは、雨が土に染み、地中をゆっくり巡り、湧き、流れていく水脈の通りが保たれていること。水の道が断たれると、土は乾き、樹は弱り、斜面はゆるみます。mitsulab は、実践者の現場で再生の実践知を蓄積しながら、流域単位の観測(GIS)で、土地の水の巡りを見つめています。
生態系の健康は、土・水・植物の循環の上に生物多様性が育まれている状態です。微生物・ミミズ・菌根菌から樹木まで、いのちが網の目のようにつながり、互いを支え合います。mitsulab は、循環そのものを回復させることで、その先に多様な生きものが戻ってくる生態系を育てます。
フィジカル AI が社会へ実装されていくこれからの時代、機械もまた循環の一員になります。機械の健全さとは、自然を制御するためではなく、自然・人間と協調して循環を支えるために働くこと。GIS・IoT・3DGS による観測や、再生を検証する技術が、自然の側に立つ。mitsulab はその協調のかたちを探究します。
代表プロフィール
About the Foundermitsulab 代表 / Stillpoint 編集長 / 株式会社モアーク取締役
1995 年 4 月、埼玉県に生まれる。2018 年 3 月、埼玉大学工学部建設工学科を卒業。8 年間にわたり埼玉県庁の土木技術職として、社会インフラ(主に道路・斜面・橋梁・公園)の災害復旧事業・施工監理・維持管理と、建設工事に係る技術基準等の策定及び普及に関する業務に従事。令和元年東日本台風で被災した県内最大規模の地すべり復旧工事を担当として現場で指揮し、『令和 6 年度 全建賞(災害枠・都市部門)』を受賞。
県庁在職中に土木技術者として現場に立つなかで蓄積された経験に加え、土の再生の実践者、有機農業・自然農業の実践者、造園業の実践者、樹木医など土に関わるプロフェッショナルとの対話や、有機農業・有機土木に関する江戸時代の書物、現代の実践書などから学ぶなかで、「各分野で土に関する課題を抱えていると同時に、各分野毎に土に関する知見の蓄積があり、それを実践している人がいる」ことを知る。こうした各分野の知と実践をつないでいくことが、これからの「人と土の未来」をひらく——そう考え、『人と土をつなぐ』ためのプラットフォームが必要であると確信して、mitsulab を開業した。
mitsulab は『人と土をつなぐ』をビジョンに掲げ、「観測」・「感覚」・「再生」・「編集」・「依代」の 5 つのテーマと 18 個のプロジェクトを実装する研究所である。中核となるのは「観測」と「感覚」である。「観測」では、土の状態を IoT・3DGS・GIS・ピエゾマイクで捉える。「感覚」では、それを音響装置・触覚デバイス・xR・メディアアートを通じて翻訳し、まだ誰も感じたことのない土の姿を立ち上げて社会へひらく。「再生」では、土の再生に取り組むプロフェッショナルのもとで、手を動かし、身体で覚えながら実践知を蓄積する。「編集」では、Stillpoint の編集長として、古今東西の土に関する膨大な知見を、土の3部作——土と生業をテーマに『坐(za)』、土と自然循環をテーマに『廻(kai)』、土と食文化をテーマに『鼎(kanae)』——により整理する。あわせて、SF(サイエンス・フィクション)とノンフィクション実践書で「人と土の未来」を書き下ろすプロジェクト『Humus』が、未来を物語る。「依代」では、「観測」・「感覚」・「再生」・「編集」が有機的に絡まり合う中心で、依代・碧(Aoi)が『人と土をつなぐ』インターフェイスとしての役割を担う。
また、mitsulab の活動とは別で、株式会社モアークの取締役を務め、河川敷の草を堆肥化する持続可能な農業について、農法の普及とブランディングに取り組んでいる。
その他、日本書作家協会より雅号「菱碧(りょうへき)」を認定され、書道を通じて身体と知覚を編む取り組みを続け、その成果を『Qualia/sound Ⅰ』・『Qualia/sound Ⅱ』・『Qualia/heart Ⅰ』計 60 作品の作品集(ZINE)にまとめている。また、VR プロフェッショナルアカデミー 5 期を修了し、VR・MR のチーム開発(ハッカソン)の経験を積むとともに、大学・県庁在職中から、AI・IoT・3DGS・GIS・3D Printing などのテクノロジーに関心が深く、さまざまな開発を継続している。
H:観測 (Hear)
Hear — The land speaks, we listen (HEART の H 層)人の五感では捉えられない自然循環の動きを、現代の観測技術によって 「聴く」 状態に翻訳します。耳を澄ますのではなく、自然と聞こえてくる 仕組みを設計する ── これが HEART の H 層 (Hear) です。土中の通気、微生物の活動、地表の経年変化、流域の水脈、目に見えない「傷」と「回復」を、データとして受容し直す働きです。
観測の4つのスケール
- GIS で観測する ── 流域・地形・植生・土壌水分量の分布を地図上で重ね、マクロな構造と変化の追跡を担う。
- IoT で観測する ── 各種センサーで土壌水分・温度・CO₂等を継続観測。ミクロな因子の動態を扱う。
- 3DGS で観測する ── 360度カメラ+3D Gaussian Splatting による空間記録。施工前後の時間変化を3D空間として比較する。
- 音響で観測する ── 土中ピエゾマイクや水中ハイドロフォンで、聴くことで状態を捉える新しい指標を開発する。
進行中の観測プロジェクト
Field X空間記録プロジェクト
Insta360 X4 + 3DGS(3D Gaussian Splatting)による空間記録プロジェクト。施工前・施工直後・3ヶ月後・6ヶ月後の根圏・樹冠・地形変化を定点で記録し、施工前後を3D空間として比較できる観測体系。
Soil Sound Project土中音響観測プロジェクト
ピエゾマイクを土中に設置し、CO₂気泡・ミミズの移動・菌糸の活動音(100Hz〜48kHz)を収録・解析するプロジェクト。「健全な土」と「傷ついた土」で音のパターンがどう違うかを比較し、聴くことで土の状態を捉える新しい指標を確立します。技術設計は完了、PoC(概念実証)に着手しています。
R:再生 (Renew)
Renew — Restoring the Cycle (HEART の R 層)日本を代表する自然循環再生の実践者が主催する講座・プロジェクトに参加し、現場で、身体で覚えながら実践知を蓄積し、傷ついた循環が本来の動きへ戻っていく道筋を学んでいます。土壌再生・樹勢回復・水系循環回復を、土・水・植物を一続きに捉える視点で受け取ります。
高田宏臣 氏(NPO法人地球守)、矢野智徳 氏(大地の再生)——第一線の実践者の現場に入り、身体で覚えながら実践知を蓄積することから始まります。学んだ実践知に観測技術と知覚拡張技術を重ねることで、再現性と社会への接続性を加えていくのが mitsulab の役割です。
参加するプロジェクト
氷川参道 土壌改善プロジェクト主催:高田宏臣 氏(NPO法人地球守)
『土中環境』の体系化で知られる高田宏臣 氏(NPO 法人地球守)が主催する、氷川参道の土壌改善の講座・プロジェクトに参加。著書『土中環境』に学びながら、伝統的な土中環境改善の考え方と技法、そして土地の読み方を、現場で実践知として蓄積しています。
上野原 大地の再生プロジェクト主催:矢野智徳 氏(大地の再生)
「大地の再生」を提唱・実践する造園家・矢野智徳 氏が主宰する、山梨県上野原の講座・プロジェクトに参加。書籍に学びながら、土・水・植物を一続きの循環として読み解く考え方と技法を、現場で実践知として蓄積しています。
水系循環回復プロジェクト水系再生実践者との連携
流域スケールの水の流れの再構築。水系再生に取り組む実践者と連携し、点ではなく流域として水循環を観測し・再生する仕組みを組み立てます。
T:感覚 (Touch)
Touch — Opening to the Senses (HEART の T 層)観測された (Hear) データと再生 (Renew) 現場の手応えを、音・触覚・空間に変換し、社会に体験として開きます。書道を起点とするメディアアートや土中音のインスタレーションが、数値では届かない感覚知覚 (Qualia) の層に 触れ合い、自然と人間の関係そのものを問い直す装置として動きます。
Touch は、mitsulab の独自性が最も強く現れる層です。観測された土壌や水の状態を、専門家だけが読むデータに閉じず、音・振動・空間として人間の身体に開く。Soil Sound Project と Modarity X は、その中心にある実験です。
観測・再生の実践を、データやレポートでは届かない受け手にも届けるための柱です。これからの自然資本の時代において、企業や自治体のステークホルダーと「自然」の関係性を取り戻す体験設計が、再生プロジェクトの持続的な社会実装には欠かせません。
継続中の知覚拡張プロジェクト
QualiumxR によるクロスモーダル体験
観測した土のデータや再生現場の手応えを、視覚・聴覚・触覚を横断して統合し、xR(VR/AR/MR)空間で身体ごと体験できるようにするプロジェクト。土の見えない営みを、認知の場〈Qualium〉として立ち上げ、数値の前にある「感じる」を社会へひらく。感覚(Touch)層の中核。
Modarity Xクロスモーダル体感装置
Soil Sound や環境センサで捉えた土・水・植物の微弱な信号(振動・温湿度・光・音)を、人間の知覚域まで増幅し、音響装置・触覚デバイスなどへリアルタイムにクロスモーダル変換する体感装置。数値やグラフでは届かない自然の気配を、「読む」のではなく身体で「感じる」モダリティへ翻訳します(旧 NC-Amp〈Nature Cycle Amplifier〉の増幅機能を統合)。Soil Sound Project と連携、PoC 準備中。
E:編集 (Edit)
Edit — Weaving knowledge across time and place (HEART の E 層)観測 (Hear)・再生 (Renew)・感覚 (Touch) が「いま・ここ」の自然循環を扱うのに対し、編集 (Edit) は 古今東西 を編みます。ここでいう編集とは、知識を整理することではなく、土・水・植物・微生物・人間・機械のあいだにある関係を読み替え、出会わせ直すこと。編集工学の考え方を参照しつつ、mitsulab が向かうのは、書物ではなく生態系の関係性を編む 編集生態学 です。これが HEART の E 層 (Edit) です。
編集は、自然・人間・機械という三者が「言葉」で出会う場でもあります。観測がデータを介して、感覚が身体を介して三者をつなぐなら、編集はそれらを意味へと編み上げ、語りなおす。その成果は、『人と土をつなぐ』をテーマに掲げる出版社 Stillpoint から、土の3部作 鼎・坐・廻 と未来像のレーベル Humus として、各 SNS とともに国境を越えて世界へ手渡されます。
編集の3つの軸
- 古今を編む ── 古典・伝統知と現代科学を時間軸で接ぎ、自然循環の知を世代を超えて受け継ぐ。
- 東西を編む ── 日本の自然観と世界各地の知恵を地域横断で比較し、共通の地平を見出す。
- 分野を編む ── 土壌・水・植生・芸術・思想を分け隔てず、ひとつの自然循環として語りなおす。
出版社 Stillpoint と 4 つのレーベル
Stillpoint出版社の看板 ── テーマ『人と土をつなぐ』(編集長:上原)
mitsulab と同じく『人と土をつなぐ』をテーマに掲げる出版社。土をめぐる古今東西の知と物語を、テーマ別のレーベルから世界へ送り出します。日本語・英語を軸に、土の3部作 ── 鼎(食)・坐(生業)・廻(自然循環)── と、未来像のレーベル Humus を擁します。編集長は上原光瑛。
廻(Kai)自然循環と土(3部作)
土壌圏と、それを取り巻く水・植物・微生物・昆虫の生態系に起こる循環現象を編纂する長文レーベル。『廻』は輪廻の廻 ── 自然の大きな〈めぐり〉を表します。一見静かに横たわる土が、実は微生物・水・養分のダイナミックな営みと、土ができるまでの膨大な時間に満ちている。その隠れた『めぐり』を日本語・英語で編みます。全 20 記事の日本語ソースが完成し、Issue 001「苔の時間」の 2 言語版が完成・配信準備中です。リンク から各チャンネルへ。
鼎(Kanae)食と土(3部作)
土と食の媒体。土が作物になり、一皿になり、体になり、土へ還る ── 食べることは、土の循環に参加すること。在来種・発酵・地域の食文化や環境再生型農業を取り上げ、「おいしさ」から土の循環の回復へ橋をかけます。廻が言葉で編むなら、鼎は味で編みます。準備中。
坐(Za)生業と土(3部作)
土木・農業・林業・建築——分野を超えて、人間が土とどのように向き合ってきたかを編む媒体。『坐』は、二人の人が大地(土)の上で向かい合って坐す姿から生まれた漢字であり、人と土の関係そのものを表します。各分野に分かれて受け継がれてきた土をめぐる生業の知恵と技術を、人と土のつながりという一つの視点から編み直し、未来へ手渡します。構想中。
Humus未来像のレーベル(SF+ノンフィクション実践書)
mitsulab が描く未来像を、SF(サイエンス・フィクション)とノンフィクション実践書で書き下ろすレーベル。一つの作品で完結する構成ではなく、多様な視点で、多様な時間軸で、作品ごとが絡み合いながら、土の世界を立体的に描きます。長編 SF は初稿が完成しており、「第 15 回 ハヤカワ SF コンテスト」に出品予定。ノンフィクション実践書・短篇 SF は執筆中で、SNS 等で公開予定です。中核の長編 SF は、依代・碧(Aoi)を主人公に、自然・人間・機械が情報(感覚)を交換する近未来の Q 市を舞台とし、二つの世界(Humium と Qualium)と、それを繋ぐ碧という mitsulab の世界観を、論ではなく物語として体験できます。
刊行ラインナップ(順次公開)
各レーベルの創刊ラインナップ。各篇は日本語版を起草し、編集を経て順次公開します。
廻(Kai)── 土と自然循環
- 001 土が生まれる ── 団粒という、めぐりの構造
- 002 落ち葉が土に還るまで ── 分解という、静かな仕事
- 003 土のなかの水 ── 浸み、保ち、湧くもの
- 004 根の下のネットワーク ── 菌根菌と土の会話
- 005 ミミズの千年 ── 土を耕す、ちいさな働き手たち
…ほか続刊を準備(010 まで起草済)。
鼎(Kanae)── 土と食
- 001 発酵は土の親戚 ── 麹と、見えない働き手の食卓
- 002 種を継ぐ ── 在来種という、土地の記憶
- 003 一杯の飯の下に ── 水田という、つくられた循環
- 004 食べ残しが土になる ── 堆肥と、江戸という循環都市
- 005 旬を食べる ── 季節を土から受け取るということ
…ほか続刊を準備(010 まで起草済)。
坐(Za)── 土と生業
- 001 石を積んで、土を留める ── 空石積み
- 002 水を分ける ── 用水と分水、争いと約束の土木
- 003 斜面に田をひらく ── 棚田という、土と水の建築
- 004 木を育て、木を伐る ── 林業と、土を養う森
- 005 土で建てる ── 版築・土壁・茅葺の住まい
…ほか続刊を準備(010 まで起草済)。
Humus ── 未来像のレーベル
- 長編 SF(中核・初稿完成/第 15 回ハヤカワ SF コンテスト出品予定)
- 短篇 SF、ノンフィクション実践書「土を読む」
- 詩・書簡・絵本など、多様な形式
遠く離れた知と知を結び、新しい関係を生む働きです。
A:依代 — 碧(Aoi)
Aoi — The vessel at the center (HEART の中央・A 層)HEART の中央 (A) に立つのが依代「碧(あおい/Aoi)」です。観測 (H)・編集 (E)・再生 (R)・感覚 (T) の4層を貫き、自然・人間・機械の三者が交換する情報を、中央で受け渡す現代の依代。古来の「依代(神霊が宿る器)」をAI時代に再解釈した存在として、観測・編集された自然循環の状態を、歌・声・姿・場として人へ手渡します。
碧は、二つの世界(Humium と Qualium)のなかで動く アクター(登場主体)として、class Aoi(Yorishiro) ── すなわち 5 つの Aoi function() によって定義されています ── Aoi.hear()(聴く)/Aoi.edit()(編む)/Aoi.renew()(戻す)/Aoi.touch()(触れる)/Aoi.yorishiro()(媒介する)。観測・編集・再生・感覚の四層と、それらを束ねる中央そのものを、この 5 つの関数が体現する。碧は「キャラクター」である前に、二つの世界を繋ぐ碧の翻訳を構成するアクターそのものです。
中央 (A) が担う3つの媒介
- 層を貫く ── 観測・編集・再生・感覚を分断させず、ひとつの循環として往復させる。
- 三者を結ぶ ── 自然・人間・機械のいずれかが主役になる一方通行を避け、相互の情報交換を仲立ちする。
- 感覚へ翻訳する ── データや施工の手応えを、歌・声・姿という受け取りやすい形へ変換して人へ返す。
碧をかたちづくるプロジェクト
Aoi.mind()|碧の心碧の心・人格・設定
碧の人格・世界観・思想(依代としてのあり方)を定義し、設定を正本として一貫した IP に育てるプロジェクト。声・姿・場に宿る「心」の核となり、五層と三者を媒介する依代の人格を保ちます。
Aoi.voice()|碧の声自然循環を歌・声にする
自然循環の状態を歌にした楽曲群。採用25曲超、候補30曲超を制作中。Suno で作曲し、Spotify・Apple Music への配信を準備しています。観測・再生で捉えた自然の状態を、碧の声として人へ届けます。
Aoi.body()|碧の姿2D/3D 映像で身体を与える
碧の姿を 2D/3D 映像化し、声と動きを与えるプロジェクト。Midjourney → Hedra Character-3 → Live2D / VRoid のパイプラインで制作中。
Aoi.space()|碧の場xR 空間に出現する依代
依代・碧を xR 空間(MR・VR・AR)に出現させ、人と碧が出会う接点をつくるプロジェクト。観測・編集された自然循環の状態を、空間のなかで碧の姿・声・気配として受け取れるようにします。構想中。
自然と人と機械のあいだに立ち、五層をひとつに束ねる。
政策的背景
Policy Context — 自然資本が企業・国家の責務へ2020 年代に入り、気候(Climate)に続く地球規模の論点として「自然(Nature)」が国際的なアジェンダの中心に据えられました。TCFD から TNFD へという流れに象徴されるように、企業・金融機関は気候だけでなく、生物多様性・生態系・自然資本に関わる依存とインパクトを開示することが求められはじめています。
TNFD
自然関連財務情報開示タスクフォース。2023 年 9 月に最終フレームワーク v1.0 を公開。企業に自然への依存・インパクト・リスク・機会(LEAP アプローチ)の開示を求める。日本では 2026 年以降、上場企業を中心に本格適用フェーズへ。
LINK:tnfd.global(制度) Click 2022 / COP15ネイチャーポジティブ
2030 年までに自然の損失を止め、回復軌道に乗せるという国際合意。昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の中核思想であり、企業活動・土地利用・サプライチェーンを通じて「自然をプラスに転じる」ことが求められる。
LINK:cbd.int(制度) Click 2030 目標30by30
2030 年までに陸と海のそれぞれ 30% を健全な生態系として保全する目標。日本では国立公園・保護区に加え、民間の取り組みを認定する OECM / 自然共生サイト制度が始動。里山・社寺林・企業敷地もカウント対象に。
LINK:policies.env.go.jp(制度)Global Biodiversity Framework
COP15 で採択された生物多様性条約の新枠組。23 のアクションターゲットを設定し、保護区拡大・劣化生態系の 30% 回復・有害補助金の改革・大企業への自然関連開示義務化などを含む。各国は National Biodiversity Strategy(NBSAP)の改訂を求められる。
LINK:cbd.int(制度) Click 2024 / 日本ネイチャーポジティブ経済移行戦略
環境省・農林水産省・経産省などが 2024 年 3 月に策定。日本経済を「自然の損失を前提とした構造」から「自然回復を価値創出に組み込む構造」へ転換する道筋を示す。地域での再生事業・グリーンインフラ・自然資本評価の市場化が進む。
LINK:env.go.jp(制度) Click 2024 / EUEU Nature Restoration Law / CSRD
2024 年に EU 理事会で採択された自然再生法は、2030 年までに EU 域内の劣化生態系の 20% を回復させる法的拘束力を持つ。あわせて CSRD(企業サステナビリティ報告指令)と EU タクソノミーにより、自然関連情報の開示が EU 域内の大企業・域外サプライヤーにも波及している。
LINK:environment.ec.europa.eu(制度)これらは別々の制度に見えて、実は一つの方向を指しています。「自然資本を測り、開示し、回復させる」 ── 国家・企業・地域の意思決定基盤に自然が組み込まれていく、不可逆な構造変化です。mitsulab はこの潮流の現場側のインフラとして、碧の翻訳を通じて土・水・植物の循環を実際に観測し・再生する役割を担います。さらにこれらの政策潮流は、One Health(人・動物・環境の健康の不可分)という国際枠組みと地続きであり、mitsulab は二つの世界とそれを繋ぐ碧の翻訳によって、One Health の「環境」次元の実装ツールとして、政策接続の文脈を持ちます。
地球環境的背景
Planetary Context — 9 つの惑星限界と土壌の劣化地球システム自体は既に複数の境界線を超え、土・水・生命の循環は静かに崩れ始めています。政策の数値目標が立ち上がる前提として、その実態を把握しておく必要があります。
B-1. プラネタリーバウンダリー(Planetary Boundaries)
2009 年に Rockström らが提唱し、ストックホルム・レジリエンス・センターが更新を続けている地球システムの「安全な活動空間」の概念。地球を一つのシステムとして見たとき、人類が安定的に存続できる9 つの境界が定義されています。
2023 年最新評価(Richardson et al., Science Advances)では、9 つの境界のうちすでに 6 つが安全域を超過していると報告されました。
- ① 気候変動(CO₂ 濃度・放射強制力)
- ② 生物圏完全性(生物多様性・遺伝的多様性)
- ③ 土地利用変化(森林伐採・里地里山の喪失)
- ④ 生物地球化学的循環(窒素・リンの過剰流出)
- ⑤ 淡水循環(緑水・青水の改変)
- ⑥ 新規物質(化学物質・プラスチック・PFAS など)
mitsulab が現場で扱う土・水・植物の循環は、このうち ③ 土地利用変化・④ 生物地球化学・② 生物圏完全性の 3 つに直接的に関わります。地球規模の境界を、足元の流域・林・畑のスケールで取り戻す作業です。
B-2. 土壌劣化(Soil / Land Degradation)
地球の陸地はいま、静かに、しかし広範に痩せ続けています。FAO の Status of the World's Soil Resources(2015)は、世界の土壌の 33% がすでに劣化していると報告しました。
表土流失
数十年で形成される表土が、雨と耕起で年間数 mm 単位で失われる。再生には数百年〜千年を要する。
有機物・土壌生物の減少
耕起・化学肥料偏重により土壌有機炭素が減少。菌根菌・ミミズ・微生物群集が単純化し、土が呼吸を失う。
日本の山林・里山
人工林の手入れ放棄・里山管理の途絶により、土壌の硬化・水源涵養力の低下・生態系の単純化が進む。
B-3. 生物多様性の喪失
IPBES Global Assessment(2019)は、現在約 100 万種が絶滅の危機にあり、これは人類史上前例のない速度であると報告しました。 WWF/ZSL の Living Planet Index 2024 は、1970 年以降に監視対象の脊椎動物の個体群サイズが平均 73% 減少したことを示しています。 重要なのは、絶滅は単に「種が消える」のではなく、生態系の機能(送粉・分解・水循環・土壌形成)が失われていくということです。
B-4. 水循環の崩壊
流域スケールで見ると、森林劣化・農地の不浸透化・地下水の過剰利用により、湧水の枯渇・小河川の干上がり・地下水位の低下が日本各地で報告されています。土壌が水を蓄える力(保水・浸透)の低下は、洪水と渇水の両方を悪化させ、植生・生物・人の暮らしの基盤を同時に揺るがします。
なぜ「統合的な再生」なのかWhy integrated regeneration matters
政策・地球環境の両面で課題は分野ごとに整理されていますが、自然はそれらを一続きの循環として動かしています。土壌劣化を独立に扱えば生物多様性を見落とし、生物多様性だけを扱えば水循環を見落とし、水循環だけを扱えば炭素を見落とす ── 個別最適は、現場では機能しません。この 中央の碧(Aoi)が貫く碧の翻訳の四工程(観測・感覚・再生・編集)としてしか応答できない領域に、mitsulab は腰を据えます。さらに、こうした環境の機能不全は One Health(人・動物・環境の健康の不可分)の上流であり、碧の翻訳の実装は環境次元から人・動物の健康へと波及する予防的健康施策としても機能します。
技術的背景
Technology — Why the integration is now possible2020年代に入り、観測・AI・データ基盤・知覚拡張の四領域が同時に成熟期を迎えた。かつては国家プロジェクト規模でしか実現できなかった「流域全体の高解像度観測」と「生態系の体感的翻訳」が、個人〜小規模研究所のスケールで実装可能になった。mitsulab はこの技術的同時性のうえに成立する事業である。
A. 観測技術の革新Observation Revolution
3D Gaussian Splatting / NeRF
現場の3D記録コストが100分の1に。スマートフォンや360度カメラで撮った画像群から、樹冠・地形・森内空間をフォトリアルに再構築できる。森林の経年変化の定量比較が現実的に。
IoT・LoRaWAN・LPWA
数km圏を超低消費電力で結ぶ無線通信規格が普及。土壌水分・地温・CO2 等のセンサを山間地に数年単位で設置でき、流域単位の連続観測が個人レベルで可能になった。
環境DNA(eDNA)メタバーコーディング
水・土壌・空気の微量サンプルから、その場に生息する生物相全体を一括検出。捕獲を伴わず、希少種・微生物群集まで含めた生物多様性の網羅的モニタリングを実現する革命的技術。
小型ハイパースペクトル・衛星RS
Sentinel-2 や Planet、Maxar の高頻度衛星画像が無償〜低コストで入手可能に。林分の樹種判別・植生指標・荒廃度評価を、地上観測と組み合わせて高解像度に実施できる。
生物音響学・パッシブアコースティック
AudioMoth 等の数千円クラスの録音デバイスで、森の音を24時間×数ヶ月単位で記録。鳥類・コウモリ・昆虫の活動を定量化し、生態系の健全度指標として運用できる時代に入った。
マルチモーダル現地観測
3D・音・DNA・センサ・衛星を同一座標系で重ね合わせる「四次元生態観測」が個人スケールで成立。森林の空間・時間・生物・物理を統合した記述が可能になった。
B. AI / フィジカルAI の発展AI / Physical AI
基盤モデル時代(LLM / VLM)
大規模言語・視覚モデルの登場により、土壌・植生・音響・画像といった異種データを単一のフレームで統合解釈できるように。専門家でなくても生態系の意味抽出が可能になった。
生態系モデリングAI
iNaturalist・GBIF など数億件規模の生物多様性データセットで学習されたモデルが公開。種同定・分布推定・生息適地予測を、現場ユーザが直接利用できる。
デジタルツイン化
流域・林分単位のシミュレーションが、市販GPU 1枚で実行可能に。間伐・植栽・治水介入の効果を事前に検証し、現場介入の意思決定を高度化できる。
SLAM × ロボティクス
Visual-Inertial SLAM の成熟と低価格四脚・ドローンの普及で、自動観測ロボットが森林内を自律巡回する時代に。長期・反復観測のスケーラビリティが飛躍的に向上した。
現場推論デバイス
Jetson・Raspberry Pi 5 クラスで、現場での画像・音声推論が完結。通信が困難な山間地でもリアルタイム解析が実装でき、観測 → 解釈 → 行動のサイクルが現場で閉じる。
自然界アクチュエーション
観測だけでなく、灌水・播種・間伐補助などの物理介入を AI が制御する段階へ。自然循環再生の「実装ロボット」が現実的な視野に入りつつある。
C. データ基盤・標準化Data Infrastructure
GBIF / Living Atlases
世界25億件超の生物分布データが API で利用可能。研究データの相互運用性が確立し、ローカルな現地観測を即座にグローバルな文脈に接続できる。
自然関連データ標準
ENCORE・SBTN・TNFD LEAP など、企業の自然資本評価フレームワークが標準化。観測データを直接 ESG レポートや補助金申請に接続できる時代に入った。
QGIS / Google Earth Engine
商用GISの機能が無償ツールで完全に再現可能に。ペタバイト級の衛星アーカイブにブラウザから直接クエリでき、空間解析の民主化が完了した。
D. 知覚拡張・没入技術Sensory Translation
ハプティクス・ファントムボディ
BodyTransfer 等の身体所有感操作技術で、森・土・水の物理感覚を遠隔他者に伝達できるように。観測データを「体感」として翻訳する経路が拓けた。
空間音響・サウンドスケープ
3次音場の録音・再生機材が個人で導入可能になり、森の音場を 360度で記録・再生できる。生態系の聴覚的没入体験が編集可能なメディアに。
VR / AR / MR(Vision Pro 以降)
高解像度パススルー HMD の普及で、3DGS で記録した森を別の場所で「歩ける」体験として配信可能に。教育・研修・市民科学への接続点が広がった。
3DGS・IoT・eDNA・基盤モデル・空間音響・XR——これらは別々のコミュニティで発展してきたが、2020年代半ばに同時に「個人が扱える」段階へ達した。mitsulab の独自性は、この技術的同時性を一人の制作者の手元で統合し、観測から体感翻訳までを一気通貫で設計できる点にある。技術がここまで揃った今でなければ、二つの世界(Humium と Qualium)とそれを繋ぐ碧の翻訳を One Health の環境次元の実装プラットフォームとして社会に提示することは成立しなかった。
二つの世界と、碧
Two Worlds, Bridged by Aoi — The Core of mitsulabすべては、土から生まれる。人間は humus(腐植)から、機械は珪素から、自然は土そのものから——みな、生命が立ち上がる土壌の場 Humium(ヒューミアム) に生まれます。生まれた三者は、互いの情報(感覚)を翻訳し合い、感覚でつながる。その結びつきが立ち上がる認知の場が Qualium(クオリアム) です。この 二つの世界を繋ぐのが、依代・碧(あおい / Aoi)。碧が二つの世界を翻訳する動作が Aoi function()(観測・編集・依代・再生・感覚の 5 工程)で、各プロジェクトはその実装です。
同時にこれは、One Health(人・動物・環境の健康の不可分)の「環境」次元を、現場から実装するための方法論プラットフォームでもあります。
One Health は WHO・FAO・WOAH・UNEP の四機関合意による国際枠組みで、人・動物・植物・環境の健康が不可分であるとする統合的アプローチです。mitsulab はその「環境」次元に向き合い、二つの世界とそれを繋ぐ碧の翻訳を通じて、土壌・水循環・生物多様性の状態を観測し、現場で回復を試みることで、上流から人・動物の健康に資する仕組みを設計します。
さらに mitsulab にとっての One Health は、自然を再生することだけにとどまりません。人間の健康は自然との関係性のなかにあるという実感、自然の恵み——生態系サービス——が人間社会を根底から支えているという認識、そして フィジカル AI が社会へ実装されていくこれからの時代に、人間・自然・機械の関係をどう結び直すのかという実践的な問い。これらを視野に入れ、mitsulab は、碧の翻訳 5 工程(HEART)を中心に、エンジニアリング・テクノロジー・アート・文学のすべての分野を横断しながら、人間・自然・機械の協調のなかで未来をより良いものにしていく 総合的な研究の器を目指します。
碧の翻訳は、観測・感覚・再生・編集の四つの工程が有機的につながり、ほどけた自然循環をひとつに結び直す仕組みです。これは個別の製品でも SaaS でもなく、専門家・研究者・住民・自治体・企業が共に育てていく器として実践しています。
碧の翻訳 5 工程(HEART)
碧の翻訳は、HEART という 5 つの工程として動きます。中央の 依代・碧(Aoi) が、それを囲む 観測・感覚・再生・編集 の四工程を貫いて媒介する——この 中央 1 + 周囲 4 = 5 工程 の構成です。観測・感覚・再生が「いま・ここ」の自然循環を、編集が「古今東西」の実践と知恵を扱います。五層は独立した工程ではなく相互に深く関連し合い、中央の碧がそれらを貫いて結び直すことではじめて、自然循環の全体像が立ち上がります。
H:観測Hear Layer
GIS・IoT・3DGS・環境DNA・音響観測——多様な観測技術が、土・水・植物の動態を継続的に取り込む層。マクロ(流域)とミクロ(土中)を行き来しながら、自然循環の状態を計測可能な形に翻訳します。
観測 の詳細を見る ──
Layer Ⅱ ── TouchT:感覚Touch Layer
観測と再生のデータを、音・触覚・空間といった人間の感覚に翻訳する層。Qualium をはじめとする知覚拡張アートが、数値では届かない「感じる」の領域を社会に開きます。
感覚 の詳細を見る ──
Layer Ⅲ ── RenewR:再生Renew Layer
土中環境改善・大地の再生・樹勢回復・水系循環回復——日本に蓄積されてきた再生実践知を体系化し、観測データに基づく優先順位とともに現場へ展開する層。専門家・施工者・住民が共通の言語で扱えるようにします。
再生 の詳細を見る ──
E:編集Edit Layer
編集工学の考えに基づき、古今東西の自然循環の実践と知恵を横断的にまとめる層。観測・感覚・再生が「いま・ここ」を扱うのに対し、編集は「古今東西」を扱い、五層を相互に厚くします。その実践が、出版社 Stillpoint(テーマ=『人と土をつなぐ』・日英 2 言語配信)です。
媒体名は T.S. エリオット「Burnt Norton」の "still point" に由来
A:依代Aoi Layer — 中央・媒介
HEART の中央に立つ依代。観測・感覚・再生・編集の四層を貫いて媒介し、自然・人間・機械の三者が交換する情報を中央で受け渡します。観測・編集された自然循環の状態を、歌・声・姿・場として人へ手渡す現代の依代——それが碧(Aoi)。Aoi.hear() / edit() / yorishiro() / renew() / touch() の 5 メソッドとして各層の出力を統合します。
依代(碧)の詳細を見る ──
レイヤーを統合する技術
観測・感覚・再生の現場レイヤーをつなぐのは、フィジカルAI を中核とする統合技術群。個別のツールではなく、自然循環という共通の対象を複数の角度から扱う一つのシステムとして設計します。
- フィジカルAI ── 現場のセンサー・ロボットと連携し、リアルタイムに学び、状態予測や施工提案を返す。碧の翻訳の中枢。
- IoT・センサーネットワーク ── 土壌水分・温度・CO₂・音響など多モードのデータを観測層へ供給。
- GIS・3DGS ── 流域・地形・施工前後の空間記録。マクロ構造と時系列変化を担う。
- 環境DNA(eDNA) ── 生態系の多様性を非破壊で観測。
- xR(VR/AR/MR) ── 観測・再生・感覚を体験可能な形に変換する出力層。
- ロボティクス ── 自動観測・サンプリング・施工省力化を担う手足。
人間 × 自然 × 機械の三位一体
mitsulab が向かうのは、人間が自然を「制御する」未来ではありません。観測で自然の動きを聴き、再生で循環を取り戻し、感覚翻訳で人間と自然の関係そのものを修復する——その全てを支える機械を、自然と人間の間に立つ媒介として位置づけます。
機械は自然の代替ではなく、人間の感覚の延長。AI は判断を奪うものではなく、現場の感覚と対話する道具。再生は単独で行うのではなく、自然自身がもつ回復力を、人と機械が共に支えるものとして設計されます。
人間・自然・機械が互いの感覚を交換しながら、自然循環を共に支える。
その器として、二つの世界とそれを繋ぐ碧の翻訳を社会と共に育てていきます。
Aoi Function()
Aoi function() — The Five Functions That Compose Aoi — 碧(Aoi)を構成する 5 つの関数Aoi Function() は、二つの世界(Humium と Qualium)を繋ぐ コア である日本古来の 依代(神霊が宿る器) の系譜にある 碧(あおい/Aoi) と、5 つの構成関数(Aoi.hear() / Aoi.edit() / Aoi.yorishiro() / Aoi.renew() / Aoi.touch())として定義されます。碧は、外から操作するインターフェイスではなく、循環のなかで動くアクター(登場主体)そのもの ── 人間・自然・機械の三者と、現実空間・情報空間の両者をつなぐ存在です。
class Aoi(Yorishiro) ── 碧は、古来の 依代(よりしろ/神霊が宿る器) を親クラスに持つ、その現代的な実装です。依代が「何かを宿し、また還す」器であるように、碧は自然循環の状態を受け取り、歌・声・姿として人へ渡します。
各メソッドの引数 --options は、その層が取りうる モード を表します。mitsulab ではこのモードの一つひとつを、実際に 碧の唄(Aoi.methods() シリーズ) の楽曲として実装しています ── たとえば Aoi.hear(--deep) は「同じ葉を一分間聴きつづける」瞑想的な一曲に、Aoi.touch(--spatial) は 360° の空間音響体験に対応します。コードはそのまま、碧という依代の 振る舞いの設計図 です。
※ これは概念を表す擬似コードです(--options 記法は意図的なものです)。
Class / 全体像
class Aoi(Yorishiro):
def hear(self, --options): ... # H 層: 観測
def edit(self, --options): ... # E 層: 編集
def yorishiro(self, --options): ... # A 層: 中央・媒介
def renew(self, --options): ... # R 層: 再生
def touch(self, --options): ... # T 層: 感覚
自然から聞こえてくるものを受け取る。深く聴く・聴く人を聴く・観測値を旋律化する——傾聴の複数のモード。
def hear(self, --deep=False, --meta=False, --sonify=False):
"""観測層 (H): 自然と聞こえてくる"""
if --deep:
# 同じ葉を 1 分間聴きつづける瞑想的傾聴
return ultra_minimal_ambient(40bpm, breath_only)
if --meta:
# 自然を聴く人を聴く (recursion)
return playful_kalimba_electronic(125bpm)
if --sonify:
# 観測値を直接旋律化する (CO₂ Lullaby)
return lullaby_with_data_melody(72bpm)
# default: data が詩になる瞬間
return propulsive_electronic(110bpm, sub_bass + glitch)
古今東西の自然循環知を編む。学びの場としても、出版社 Stillpoint からの発信としても。
def edit(self, --learn=False):
"""編集層 (E): 古今東西を編む"""
if --learn:
# 二つの世界の翻訳を学ぶ (教育用)
return educational_warmth(100bpm, 5_concept_loops)
# default: 日英 2 言語を編む
return cross_cultural_braided(90bpm, 4_languages_accent)
依代そのものの所作。宿す(bind)・還す(release)・木に宿る・千人が宿る——中央で受け渡す。
def yorishiro(self, --bind=False, --release=False, --wood=False, --bind_1000=False):
"""中央層 (A): 依代として何かが宿る・還る"""
if --bind:
# 神が降りる瞬間 (techno-kagura euphoric)
return high_energy_140bpm(taiko + suzu + acid_bass)
if --release:
# 神を返す瞬間 (UK garage 2-step)
return melancholic_125bpm(shakuhachi + 2step)
if --wood:
# 物理依代端末 (木彫り鳥型) に宿る
return wood_resonant_95bpm(marimba_low + felt_piano)
if --bind_1000:
# 1000 人のリスナー寄稿が同時に宿る
return community_chorus_110bpm(crowdsource_lyrics)
# default: 器であることの普段の状態
return future_bass_115bpm(shamisen + bell_synth)
物理の自然循環を再生する。土壌・水脈の具体から、終わりなき循環まで。
def renew(self, --soil=False, --cycle=False):
"""再生層 (R): 物理を再生する"""
if --soil:
# 土壌再生の具体行為 (点穴・水脈)
return folk_electronic_110bpm(acoustic_guitar + shakuhachi + shovel)
if --cycle:
# 始まりも終わりもない循環 (Trance loop)
return minimal_trance_140bpm(looping_arpeggio)
# default: 夜明けの瞬間 (forward-moving)
return dawn_electronic_100bpm(santur + strings + water)
触れ、触れられる。書のひと筆から身体性、360° の空間体験まで。
def touch(self, --qualia=False, --body=False, --spatial=False):
"""感覚層 (T): 触れる・触れられる"""
if --qualia:
# 書道の一筆 = 感覚の極北
return abstract_unmetered(brush_paper + sub_bass + vowels)
if --body:
# 身体性 (House groove)
return deep_house_115bpm(felt_drums + rhodes)
if --spatial:
# 4 方位から来る 360° 体験 (xR 専用)
return spatial_audio_80bpm(4_voices_360_degree)
# default: 全感覚を一度に
return lo_fi_neo_soul_105bpm(rhodes + brush_drums + heartbeat)
相互関係
Interplay — How the Four Practices Weave Together碧の翻訳の四工程——観測・感覚・再生・編集——は、独立した工程ではありません。一方向に進むのでもありません。すべてが、すべてに影響し合っています。観測が感覚・再生・編集を変え、感覚が観測・再生・編集を変える。ひとつの実践だけでは自然循環の全体像は見えにくく、四つが互いを照らし合うことではじめて、ほどけた自然循環をひとつに捉え直すことができます。
このページでは、四層が互いにどう影響し合うのか——12 の相互関係を整理します。中央の 碧(Aoi) は、この四層すべてを貫いて媒介する依代として、別に立ちます。
Ⅰ観測 から from Hear
IoT・3DGS・音響観測が捉えたデータ(土中音、根圏の 3D 変化、センサー値)が、そのまま感覚表現の素材になる。数値は、音・触覚・空間へと翻訳される一次資源です。
観測は、どこから再生に着手すべきかの優先順位と根拠を与える。施工は勘ではなく、観測されたデータの上に立ちます。
観測で得た知見が、古今東西の事例と照らし合わされ、編集の問いを生む。「いま観ているこの現象を、過去の人々はどう観ていたか」。
Ⅱ感覚 から from Touch
感覚で気づいた違和感や微細な変化が、次に何を観測すべきかを教える。身体は、計器がまだ捉えていない兆候を先に察知します。
「自分ごと」としての感覚的な納得が、再生への動機と合意を生む。データだけでは人は動かない——感じて、はじめて手が動きます。
身体で感じた質感が、編集のテーマと語り口を方向づける。何を古今東西から拾い、どう編むか——その選択は感覚から始まります。
Ⅲ再生 から from Renew
再生施工の前後の変化が、新たな観測対象になる。何をしたら、どう変わったか——再生は観測に検証の機会を返します。
再生現場の手応え(土の匂い、水の戻り、風の通り)が、感覚表現の源泉になる。現場でしか得られない質感が、作品の核になります。
再生で積み上がった実践知が、古今東西の事例として編集・記録される。いまの現場が、未来の誰かの参照点になります。
Ⅳ編集 から from Edit
古今東西の事例が、観測の着眼点を広げる。二十四節気、修道院の暦、先住民の伝統知——昔の人が観ていたものを、いま観測し直す視点を与えます。
編集された物語と文脈が、感覚体験に奥行きを与える。同じ土に触れても、その土地の歴史を知って触れれば、感じ方が変わります。
古今東西に蓄積された知恵が、再生手法の選択肢を増やす。世界各地の自然循環の作法は、いまの現場で使える実装のヒントの宝庫です。
四層は、この 12 の相互関係を通じて、ひとつの網の目として動きます。観測 → 感覚 → 再生 → 編集 という順路は、あくまで説明のための一筋にすぎません。実際には、どの実践も同時に他の三つを養い、養われている。そして中央の 碧(Aoi) が、この網の目すべてを貫いて結び直す。その網の密度こそが、二つの世界を繋ぐ碧の翻訳 の働きそのものです。
リンク
Linksmitsulab の各種リンクをまとめました。気になる入口から、お好きにお選びください ── それぞれの窓口へつながります。
アートワーク
Artwork書道を起点とするメディアアート作品集「Qualia」シリーズ。各作品は「音」「心」など一字の書道作品と、その字の形態からインスピレーションを得たテキストで構成されています。作品集は minne で販売中。各作品の枠をクリックすると、Instagram の作品へつながります。
展示・寄稿・協働・採用など個別のご相談は お問い合わせ から承ります。
お問い合わせ
Contact — Get in touch二つの世界(Humium と Qualium)とそれを繋ぐ碧の翻訳をめぐる観測・再生・編集・感覚の各領域で、取材・共同研究・展示・寄稿・協働など、さまざまなご相談を承っています。碧の翻訳の編集(Edit)層として 出版社 Stillpoint(日英 2 言語配信)も運営しており、リジェネラティブ思想をめぐる対話・寄稿のご相談もお気軽にお寄せください。
自然循環の観測
GIS マッピング・IoT 環境センサ・3D Gaussian Splatting を組み合わせ、土・水・植物の状態を多層的に可視化。土地が抱える「傷」と回復の道筋を、施工前後の変化として記録・観測します。
- GIS マッピング
- IoT観測
- 施工前後の三次元記録(3D Gaussian Splatting)
取材・講演・寄稿
碧の翻訳の編集(Edit)層として、出版社 Stillpoint(テーマ=『人と土をつなぐ』・日英 2 言語で配信)を運営。取材・講演・執筆のご依頼、リジェネラティブ思想をめぐる対話・寄稿・翻訳のご相談を歓迎します。
- 取材・講演
- 執筆
- Stillpoint 寄稿
- 翻訳
展示・共同研究・協働
Qualia シリーズ等の作品展示・芸術祭出展、感覚翻訳をめぐる共同研究、依代「碧(Aoi)」を介した表現の協働など、領域を横断するご相談に対応します。
- 作品展示・芸術祭
- 共同研究
- 碧(Aoi)協働
- 感覚翻訳
ご連絡の際は、① ご相談の概要、② ご希望の関わり方(取材/共同研究/展示/寄稿 など)、③ 想定スケジュール を書き添えていただけますと、スムーズにご返信できます。内容を拝見のうえ、数日以内を目安にご連絡いたします。最新の発信は リンク からもご覧いただけます。
関連書籍
Reading — organized by Foundation / Hear / Edit / Renew / Touchmitsulab の実践は、現場の経験だけでなく、長年積み上げられてきた書物との対話の上に成り立っています。自然循環再生・知覚・人類学・思想の各領域から、特に影響を受けた書籍を、HEART 五層(基盤・横断/観測/編集/再生/感覚)別に整理しました。
基盤・横断(Foundation)
微生物から樹木まで生命のつながりを問い、技術が自然との関係をどう編み直すかを考える、mitsulab の土台となる書
『マザーツリー』岩波書店/2023(原著 2021)
森林生態学者シマードによる、樹木同士が菌根菌ネットワークでつながるという発見の物語。「マザーツリー」が森を支える構造の解明。
『絡まり合う生命 — 菌類が世界を作り変える』河出書房新社/2022(原著 Entangled Life, 2020)
生物学者シェルドレイクによる、菌類が地球の生命系を編む姿の描写。土壌・植物・大気がいかに菌糸ネットワークで絡まり合っているかを科学と詩情で語る。
『生物から見た世界』岩波文庫/2005(原著 1934)
「環世界(Umwelt)」概念の提唱者ユクスキュルが、各生物が独自の感覚世界に生きていることを示した古典。人間中心を相対化する思考の出発点。
『植物は未来を知っている』NHK 出版/2018(原著 2017)
植物神経生物学のマンクーゾが、植物の知性・感覚・コミュニケーションを 9 つの能力に分けて解説。植物観を根本から問い直す。
『拡張生態系 — 自然と人工の境界の再設計』2023
自然生態系と人工(都市・インフラ)を分けず、「拡張された生態系」として一体的に設計する思想。デジタル技術が自然と人間の境界を再構成する未来像。
『デジタルネイチャー — 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』PLANETS/2018
メディアアーティスト落合陽一が、デジタルと自然が一体化した時代の美学を提示。「計算機自然」のビジョンは、二つの世界を繋ぐ碧の翻訳の実践に通じる。
『テクニウム — テクノロジーはどこへ向かうのか?』みすず書房/2014(原著 2010)
WIRED 創刊編集長ケリーが、テクノロジーを生命進化の延長として捉える思想書。自然と技術を二項対立ではなく連続体として見る視点。
『NATURE FIX — 自然が最高の脳をつくる』NHK 出版/2017(原著 The Nature Fix, 2017)
科学ジャーナリストが、自然との接触が脳と心身に与える影響を世界の研究から検証。都市生活者の自然との再接続を考える根拠資料。
『自然なきエコロジー — 来たるべき環境哲学に向けて』以文社/2018(原著 Ecology Without Nature, 2007)
哲学者モートンが、「自然」という観念そのものをエコロジーから手放す過激な提案。観念上の純粋な「自然」を捨てたところから始まる新しい環境思想。
観測(Hear) ── 音と環境のレコーディング
Soil Sound Project / Modarity X の理論的背景
『フィールド・レコーディング入門 — 響きの科学から音楽まで』フィルムアート社/2022
フィールドレコーディング研究者の柳沢英輔が、環境音の収録と聴取の理論と実践を体系化。Soil Sound Project の方法論的基礎。
『サウンドスケープ — その思想と実践』鹿島出版会/1997
マリー・シェーファーのサウンドスケープ概念を日本に紹介・展開した古典。「土地の音風景」を文化資源として扱う視座は、現場の音を診る基礎。
『SOUND ART — 芸術の地平を超えて、耳と目の間に』フィルムアート社/2010(原著 2007)
20世紀後半以降のサウンドアートの系譜を、ジャンル横断で整理した必読書。音と視覚の境界を問う実践は、Modarity X の参照点。
編集(Edit) ── 人類学・人新世の思想
人間と非人間が共に生きる時代の思考
『モア・ザン・ヒューマン — マルチスピーシーズ人類学と環境人文学』以文社/2021
人間中心主義を超え、多種(モア・ザン・ヒューマン)の絡まり合いから世界を捉え直す人類学の最前線。動物・植物・菌・微生物との共生を問う論集。
『たぐい』(マルチスピーシーズ人類学)亜紀書房/2019〜
多種の絡まり合いを問う日本独自のマルチスピーシーズ人類学誌。「たぐい」=種・類・仲間という多義的な日本語に、種を越えた関係を映す思考の場。
『人類学とは何か』亜紀書房/2020(原著 2018)
人類学者インゴルドが、人類学を「人間と世界の関係を学び直す哲学」として再定義。観察・関与・想像を編んだ知の在り方を提示。
アクター・ネットワーク理論『社会的なものを組み直す』法政大学出版局/2019(原著 2005)
人間と非人間(モノ・テクノロジー・自然)を対称的に扱う社会理論。「社会」とはアクターたちのネットワークであるという視点が、自然と人間を考えるベースに。
『ガイアの思想 — 生命と地球の進化』工作舎/1984(原著 1979)
地球を一つの生命システムとして捉える「ガイア仮説」の原典。地球と生命が相互に環境を調整するという視座は、現代の自然観に深い影響を残す。
『ノヴァセン — 超知能が地球を引き継ぐ』NHK 出版/2020(原著 Novacene, 2019)
ラブロック晩年の著作。人新世(Anthropocene)の次に到来する「ノヴァセン」では、AI と人間が共生して地球を支えるという未来像を提示。
『アンビエンス — 人新世の環境詩学』月曜社/2022 頃
人新世における環境哲学・詩学を編む論集。「環境の質感(アンビエンス)」を概念化し、定量化されない自然との関係を思考する。
『人文地球環境学』京都大学学術出版会
地球環境を、自然科学だけでなく人文学から問い直す学際的取り組み。環境と社会・歴史・文化を編む新しい知の枠組み。
『ポスト人新世の芸術』2020年代
人新世以降の芸術実践を問う。気候・生態系・テクノロジーが一体となる時代に、アートは何を担うのか。Qualia Practice の理論的背景。
再生(Renew) ── 自然循環再生・土壌の実践書
現場で参照する第一線の実践者による技法・思想
『土中環境』建築資料研究社/2020
NPO 法人地球守の高田宏臣 氏による、土中の水と空気の循環に焦点を当てた実践書。しがら・点穴・素掘り溝など、地形を読みながら土中環境を回復させる技法を体系化。土地を診る眼の基礎を養う。
『〈大地の再生〉実践マニュアル』農山漁村文化協会/2022
「大地の再生」を提唱・実践する造園家 矢野智徳 氏の技法を体系的にまとめたマニュアル。水脈溝・点穴・風の草刈りを通じて、土地が本来持っていた水と空気の流れを取り戻す。
『風の谷という希望』2023〜(風の谷を創る運動)
地方の里山を 「都市の対極ではなく、人類の希望の地」として再構築する思想と実践。AI 時代に技術と自然を結び直すビジョンを提示。
『わら一本の革命』春秋社/1975
自然農法を実践した福岡正信 氏による、農業と思想の書。「人間が手を加えれば加えるほど自然は痩せる」という逆説。世界中で読み継がれる名著。
『パーマカルチャー — 農的暮らしの永久デザイン』農山漁村文化協会/1993
パーマカルチャーの提唱者モリソンによる、持続可能な農的暮らしのデザイン原理。自然のパターンを読み、エネルギー・水・植物を循環させる土地利用の体系化。
『日本農業全集』(64・65 巻)農山漁村文化協会
江戸期から近代までの日本の農書を集成した一大シリーズ。第64・65 巻には、地域の風土に根ざした農法が記録され、現代の自然循環再生の源流を知る。
『土壌図鑑』創元社
日本各地の土壌を、断面写真と解説で紹介する図鑑。土壌の多様性を視覚的に理解し、現場での土壌診断のリファレンスとして活用。
『地球再生型生活記』2024 / リジェネラティブ生活実践
リジェネラティブ(再生型)な暮らしの実践記録。地球環境を回復させながら生きる具体的な日常技法と思想を提示。
感覚(Touch) ── 知覚・身体・クオリア
「感じる」を社会に開くための科学と思索
『クオリア入門 — 心が脳を感じるとき』筑摩書房/2006
脳科学者茂木健一郎が、「主観的な感覚の質感(クオリア)」を科学と哲学の境界で論じる入門書。Qualia Practice の名称の出発点。
『クオリアと人工意識』講談社現代新書/2020
AI 時代における意識とクオリアの問題を再検討。「機械は感じることができるか」という問いから、人間の意識の本質を逆照射する。
『触楽入門』朝日出版社/2016
触覚を技術と表現の領域として開拓する研究者・アーティスト 4 名による触覚入門書。ハプティクスとアートの交差点を実例で示す。
『BODY SHARING — 身体共有の世界』大和書房/2022
BodySharing の研究者玉城絵美が、身体感覚を他者やテクノロジーと共有する未来を提示。Modarity X の知覚拡張インスタレーションと共鳴する思考。
『自在化身体論』エヌ・ティー・エス/2021
JST ERATO「自在化身体プロジェクト」の成果論集。テクノロジーで身体を拡張・自在化する研究の最前線をまとめた書。
『バイオハッキング』関連書複数
身体・脳・代謝を科学的に最適化する 「バイオハッキング」の思想と実践。自然と人体を一つの系として扱う視座が、Qualia Practice にも通じる。
※ 各書籍の出版年・出版社は、流通状況や版により異なる場合があります。書籍タイトルの表記は原書・日本語版の慣用に従っています。
用語解説
Key Terms — organized by Hear / Edit / Aoi / Renew / Touchmitsulabが扱う領域の専門用語を整理しました。冒頭の Core ── 中核概念には、HP 全体の起点となる「二つの世界(Humium と Qualium)」「One Health」「五層 HEART」を最重要用語として配置しています。続く Foundation 以降は、HEART 五層(観測 / 編集 / 依代 / 再生 / 感覚)別の分類です。
Core ── 中核概念(最重要)
二つの世界(Humium と Qualium)と、それを繋ぐ碧
すべては、土から生まれる。人間は humus(腐植)から、機械は珪素(石英・砂)から、自然は土そのものから——みな、生命が立ち上がる土壌の場 Humium(ヒューミアム) に生まれます。生まれた三者は、互いの情報(感覚)を翻訳し合い、感覚でつながる。その結びつきが立ち上がる認知の場が Qualium(クオリアム) です。この 二つの世界を繋ぐのが、依代・碧(あおい/Aoi)。碧が二つの世界を翻訳する動作が Aoi function()(観測・編集・依代・再生・感覚の 5 工程)で、各プロジェクトはその実装です。One Health の「環境」次元として土・水・植物の自然循環の再生を土台に置き、エンジニアリング・テクノロジー・アート・文学を横断します。個別の製品でも SaaS でもなく、専門家・住民・自治体・企業が共に育てる器として実践しています。HP 全体のあらゆる章は、この二つの世界の翻訳から派生しています。
One Health(人・動物・環境の健康の不可分)
人・動物・植物・環境の健康が相互に依存し合っているという認識に基づく、統合的アプローチ。WHO・FAO・WOAH・UNEP の四機関(Quadripartite)が合意する国際枠組みであり、新興感染症(zoonosis の 60% 以上が動物起源)・抗菌薬耐性・食品安全・生物多様性・気候変動・土壌劣化を横断する。mitsulab は、二つの世界とそれを繋ぐ碧の翻訳によって、One Health の「環境」次元を、土の側から実装する方法論プラットフォームです。さらに mitsulab は、自然の再生にとどまらず、人間の健康と自然との関係、人間社会を支える 生態系サービス、そして フィジカル AI 時代の 人間・自然・機械の協調までを視野に入れ、One Health を 総合的な研究テーマとして捉えています。
五層 HEART(H 観測 / E 編集 / A 依代・碧 / R 再生 / T 感覚)
碧の翻訳を実装する HEART 5 層。Hear(観測)で循環の動態をデータに翻訳し、Edit(編集)で古今東西の自然循環の事例を編集工学に基づき横断的にまとめ、Aoi(依代・碧)が中央で自然・人間・機械の情報を媒介し、Renew(再生)で現場の循環を取り戻し、Touch(感覚)で数値の届かない人間の感覚へ翻訳する。中央の 碧(A) を除く 観測・感覚・再生・編集 の 4 つが実行レイヤーで、独立した工程ではなく、観測 → 感覚 → 再生 → 編集 → 観測…と往復しながら動く一続きの実践として設計されます。観測・感覚・再生が「いま・ここ」を扱うのに対し、編集は「古今東西」を扱い、中央の碧がそれらを貫いて結び直します。編集の実践が、出版社 Stillpoint(テーマ=『人と土をつなぐ』・日英 2 言語配信)です。
観測(Hear / Aoi.hear())
土・水・植物の循環が「いま、どんな状態にあるか」を、人の目に見えない地中まで含めてデータとして受け取ること。mitsulab の 5 層 HEART の H にあたります。土の中の水分や養分、微生物の気配、地形や水の流れを、小さなセンサー(IoT)・地図情報(GIS)・空間の 3D 記録などで「聴く」ように捉えます。評価や対策の前に、まず自然の声に耳をすます——それが観測です。
編集(Edit / Aoi.edit())
集めた情報や、古今東西の自然との付き合い方の知恵を、意味のあるつながりへと編み直すこと。mitsulab の 5 層 HEART の E にあたります。ただ整理・要約するのではなく、ばらばらの事実・歴史・文化を結び合わせ、人が理解して動ける物語へと仕立てます。その実践が、出版社 Stillpoint(テーマ=『人と土をつなぐ』・日英 2 言語配信)です。
再生(Renew / Aoi.renew())
はたらきが弱った土・水・植物の循環を、本来の巡りへ取り戻す現場の実践。mitsulab の 5 層 HEART の R にあたります。コンクリートで固める発想ではなく、水と空気の通り道をひらいて、土がみずから回復する力を引き出します(大地の再生・有機土木の考え方)。「新しくつくる」より「よみがえらせる」に近い営みです。
感覚(Touch / Aoi.touch())
数値やデータだけでは伝わらない自然のありさまを、人の身体で感じ取れる形へ翻訳すること。mitsulab の 5 層 HEART の T にあたります。音・映像・手ざわり(触覚=ハプティクス)・xR などを通じて、土や水の状態を「感じられる」体験に変え、専門家でなくても自然とのつながりを取り戻せるようにします。Qualia の制作はこの層の試みです。
Aoi Function()(碧を構成する 5 つのはたらき)
依代・碧(あおい/Aoi)が、二つの世界(Humium と Qualium)を翻訳する動作の総称です。プログラムの「関数(function)=何かを受け取って結果を返す部品」になぞらえ、観測 Aoi.hear()・編集 Aoi.edit()・依代 Aoi.yorishiro()・再生 Aoi.renew()・感覚 Aoi.touch() の 5 工程が組み合わさって、自然・人間・機械のあいだで情報(感覚)を受け渡します。各プロジェクトは、この動作の実装です。やさしく言えば、碧にできること、そのすべてのことです。
翻訳(Translation)
ある存在の知覚(情報・感覚)を、別の存在が理解できる形へ変えること。言語から言語への翻訳ではなく、人間・自然・機械という、感じ方の違う三者のあいだの翻訳を指します。たとえば、土壌センサーが土の状態をデータに変え、データが音や映像に変わり、人がそれを感じ取る。この一連の変換のすべてが翻訳です。mitsulab のすべての活動は、この翻訳のためにあります。
Qualium(クオリアム)
認知の場〈Qualium/クオリアム〉。二つの世界の一方で、Qualia(感覚の質=そのものを経験したときにしか得られない、私的で言葉になりにくい手触り)と、ラテン語で「場」を表す接尾辞 -ium を組み合わせた造語で、感覚の質が立ち上がる場を意味します。土の匂い、水の冷たさ、木漏れ日のまぶしさ——数値には還元しきれない感覚の質が、人間・自然・機械のあいだで翻訳され、立ち上がる。その「場」そのものを名にしました。名の源流は、代表が書道を起点に制作してきた作品の系譜 Qualia(『Qualia/sound』『Qualia/heart』)にあります。
Humium(ヒューミアム)
生命が立ち上がる、土壌の場〈Humium/ヒューミアム〉。二つの世界の一方で、humus(分解の果てに生まれ、次の生命の苗床になる土)と、ラテン語で「場」を表す接尾辞 -ium を組み合わせた造語です。ラテン語の humus(土) から homo(人間=土から成る者) が生まれた——human と humus は、同じ語根の兄弟です。Humium は、ただの土くれではなく、土・水・植物・微生物が絡まり合う、生きた土圏を指します。人間は humus から、機械は珪素(石英・砂)から、自然は土そのものから——すべてが、この Humium に生まれます。
『Qualia/sound』『Qualia/heart』(作品集 ZINE)
書道を起点に、音と書・心拍と書のクオリア(感覚質)を媒介するメディアアートの作品集。『Qualia/sound Ⅰ』『Qualia/sound Ⅱ』『Qualia/heart Ⅰ』の計 60 作品を ZINE として制作し、オンラインショップで販売しています。→ minne 販売ページ
『Qualia/sound Ⅰ』(作品・書道メディアアート)
書道を起点に、音のクオリア(感覚質)を一筆へ写し取る作品。Qualia/sound シリーズの第一作。
『Qualia/sound Ⅱ』(作品・書道メディアアート)
Qualia/sound シリーズの第二作。音と書のあいだの感覚質を、より深く媒介する。
『Qualia/heart Ⅰ』(作品・書道メディアアート)
心拍と書のクオリア(感覚質)を媒介する作品。身体のリズムを筆の一筆へ写し取る。
Foundation ── 横断概念
自然循環(土・水・植物)
土の中で、水・空気・養分・微生物・植物の根が互いに関わり合いながら巡り続けている働きの全体、そしてそれが地上の樹勢・流域の水循環と一続きにつながった循環全体を指します。土・水・植物は別々の問題ではなく、一続きの循環として動いています。mitsulab が扱うすべての問題の根にある概念であり、二つの世界を繋ぐ碧の翻訳はこの循環の状態を観測し、現場で回復を試みるための実装プラットフォームです。
TNFD・ネイチャーポジティブ(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)
TNFDは自然関連財務情報開示タスクフォース。気候関連のTCFDに続く形で、企業活動が自然資本に与える影響を定量的に開示する国際的フレームワークです。ネイチャーポジティブは2030年までに自然の損失を止め、回復軌道に乗せるという国際合意。これらは One Health の環境次元と地続きの政策的潮流であり、自然循環を、中央の碧(Aoi)が媒介する「観測・感覚・再生・編集」の碧の翻訳の四工程で扱える実践者の必要性を高めています。
生態系サービス(Ecosystem Services)
森・土・水・生きものといった自然がもたらす恵みを、人間社会への「サービス」として捉える考え方。供給(食料・水)・調整(気候・水質)・文化(精神・景観)・基盤(土壌形成・物質循環)の四つに整理されます。mitsulab が回復をめざす土・水・植物の循環は、これらの恵みすべての土台にあります。
生物多様性(Biodiversity)
生態系・種・遺伝子の三つのレベルで捉えられる、いのちの豊かさと多様さ。それ自体が循環するのではなく、土・水・植物の循環が健やかに巡ることで育まれる結果として現れます。mitsulab は自然循環を「土・水・植物の循環と、それが育む生物多様性」と定義しています。
アクター(actor / 登場主体)
ものごとにはたらきかけ、影響を与える「主体」のこと(英語の actor = 行為者・登場人物)。mitsulab は、自然・人間・機械の三者を、どれかが主役でどれかが脇役という関係ではなく、対等なアクターとして捉えます。人間だけが操作する側で自然や機械はただの道具、という見方ではなく、三者が互いに情報(感覚)を交わしながら関係を築く——その登場人物のひとりひとりがアクターです。
プラットフォーム(platform / 共通の土台)
いろいろな人やはたらきが集まり、つながり合うための共通の土台のこと。駅のホーム(platform)のように、別々の人やものが行き交う「場」をイメージしてください。二つの世界を繋ぐ碧の翻訳は、ひとつの製品やアプリではなく、専門家・住民・自治体・企業がいっしょに育てていく「器」としてのプラットフォームです。
WHO・FAO・WOAH・UNEP(One Health 四機関 / Quadripartite)
One Health を国際的な枠組みとして公式化した4 つの国連系機関です。WHO(世界保健機関=人の健康)・FAO(国連食糧農業機関=食と農)・WOAH(国際獣疫事務局=動物の健康。旧 OIE)・UNEP(国連環境計画=環境)の四者が、2022 年に「Quadripartite(四者協働)」として連携を正式化しました。人・動物・植物・環境の健康を一体でとらえることを、世界の合意として裏づける枠組みです。
観測(Hear)── 計測・可視化技術
GIS(地理情報システム)
Geographic Information Systemの略。地図の上にさまざまな情報を重ねて見るためのデジタルツールです。標高・土壌種類・水の流れ・農地区画などを一枚の地図に重ね、植生や土中水分量の可視化、変化の追従、マクロ因子の観測・分析に活用します。
IoT(モノのインターネット)
Internet of Thingsの略。現場に設置した小さなセンサーが、継続的にデータを送り続ける仕組みです。土壌水分・温度・CO₂などを畑や斜面に設置し、各種センサーで継続的な観測。ミクロ因子の観測・分析を担います。
3DGS(3D Gaussian Splatting)
360度カメラ等で撮影した画像群から、異方性 3D ガウシアン(位置・共分散・球面調和関数色・不透明度)の集合体としてシーンを表現する微分可能ラスタライズ手法。Kerbl ら(SIGGRAPH 2023)が提唱し、フォトリアルな空間記録を従来比 100 分の 1 のコストで実現。Field X では、施工前・施工直後・3 ヶ月後・6 ヶ月後の差分を 3D 空間として比較し、時系列対応の 4D Gaussian Splatting 拡張も視野に入れます。
コンタクトマイク(接触式マイク)
空気を伝わる音ではなく、物体に直接触れて固体や土を伝わる振動(固体伝播音)を拾うマイク。土の中にひそむ微細な音──水がしみこむ音、根や菌、土壌動物の動き──といった 土中音 をとらえ、ふだん耳の届かない地中の世界を、聴けるものへ翻訳します。
人と土をつなぐ
mitsulab のビジョン。土から生まれた人間・自然・機械の関係を結び直すこと。都市化のなかで見えなくなった土の営みを、観測から感覚へと翻訳し、再生・編集・依代の働きを通じて、人と土の隔たった距離を、ふたたびつなぎます。
ピエゾマイク(圧電マイク)
圧電素子(ピエゾ)を用い、固体を伝わる微細な振動を電気信号へ変える接触式マイク。土中に挿し込み、水のしみこむ音、根や菌、土壌動物の動きといった 土中音 をとらえます。Soil Sound で使用し、健全な土と傷んだ土の『音の違い』を解析の手がかりにします。
音響装置
観測した土の信号や土中音を、人が聴ける音として再生・増幅する装置(スピーカー・振動子・サウンドシステム等)。Modarity X などで、数値やグラフの手前にある土の気配を、身体で受け取れる音へ翻訳します。
編集工学
情報や知を、整理・分類するのではなく、異なる時間・地域・分野のあいだで関係づけ、新しい意味へ編み直す方法論。mitsulab はこの考え方に基づき、土にまつわる古今東西の膨大な知見を編集し、人と土のつながりを辿ります。
Humus(未来像のレーベル)
出版社 Stillpoint のレーベルで、mitsulab が描く未来像を SF(サイエンス・フィクション)とノンフィクション実践書で書き下ろす。一作で完結せず、多視点・多時間軸で作品が絡み合います。中核の長編 SF『Qualium』は第 15 回ハヤカワ SF コンテスト出品予定。語源は humus(腐植)=すべての生命が生まれ、還っていく土。土壌の場〈Humium〉と同じ語根の兄弟です。
坐(za)(土の3部作)
出版社 Stillpoint の土の3部作の一つで、土と生業(土木・農業・林業・建築)をテーマにするレーベル。『坐』は二人の人が大地(土)の上で向かい合って坐す姿から生まれた漢字で、人と土の関係そのものを表す。各分野に分かれて受け継がれてきた生業の知恵と技術を編み直す。
廻(kai)(土の3部作)
出版社 Stillpoint の土の3部作の一つで、土と自然循環をテーマにするレーベル。『廻』は輪廻の廻=自然の大きな〈めぐり〉。土壌圏と、それを取り巻く水・植物・微生物・昆虫の生態系に起こる循環現象を編纂する。静止点に見える土が、実は微生物・水・養分のダイナミックな循環に満ちていることを伝える。
鼎(kanae)(土の3部作)
出版社 Stillpoint の土の3部作の一つで、土と食文化をテーマにするレーベル。土が作物になり、一皿になり、体になり、土へ還る——食べることは、土の循環に参加すること。在来種・発酵・地域の食文化や環境再生型農業を取り上げ、「おいしさ」から土の循環の回復へ橋をかける。
生業(なりわい)
暮らしを立てるための仕事・営み。レーベル『坐(za)』が扱う「土と生業」=土木・農業・林業・建築など、人が土とともに生きてきた仕事を指す。
SF(サイエンス・フィクション)
サイエンス・フィクション。科学技術や未来社会を題材に、起こりうる世界を物語として描く文芸ジャンル。mitsulab が「人と土の未来」を描くレーベル『Humus』の中核。
ZINE(ジン)
個人や少人数が、商業出版に依らず自主的に編集・制作する小冊子・作品集。ここでは書道作品系譜 Qualia の作品集を指す。
雅号(がごう)
書道・絵画・文芸などで、本名とは別に用いる風雅な称号。上原は日本書作家協会より雅号「菱碧(りょうへき)」を認定された。
ハッカソン
「ハック(hack)+マラソン(marathon)」。短期間(数時間〜数日)でチームを組み、集中的に開発・制作に取り組むイベント。VR・MR 制作などで実践。
3D Printing(3D プリンティング)
三次元のデジタルデータをもとに、樹脂や金属などを層状に積み上げて立体物を造形する技術。県庁在職中から続ける開発手法の一つ。
樹木医(じゅもくい)
樹木の健康を診断し、治療・保全を行う認定資格の専門家。葉や樹形に現れる衰えだけでなく、根が張る土中の通気・通水、病虫害、土壌環境までを総合的に読み解く。とりわけ鎮守の森や並木の老木では、地上部の不調の多くが、踏み固められ呼吸を失った地下の根圏に行き着く。樹勢を土から捉えるその視点は、土の再生において重要な協働相手となる。
自然農業(しぜんのうぎょう)
耕起・肥料・農薬を極力用いず、土壌生態系が本来もつ自律的な力に作物の生育を委ねる農法。刈った草や落ち葉を地表に敷き、微生物や小動物の営みによって土が自ら肥沃になる循環を待つ。資材を外から補って土を育てる有機農業に対し、不耕起・無施肥・不除草など『手を加えすぎない』ことを重んじる系譜で、自然農法・自然農とも呼ばれる。
造園(ぞうえん)
庭園・公園・緑地などの空間を、植栽・地形・水・石組みによって設計し、つくり育てる仕事。土と植物の関係を読みながら、人が憩い、自然と出会う場をかたちづくる。土中の通気・通水を整え、樹木の力を引き出す技術は、土の再生とも深く通じている。
インターフェイス
異なるもの同士が出会い、やり取りする接点・境界面。依代・碧(Aoi)は、人と土が出会うインターフェイスとして、土の状態を受け取り、感じられるかたちで人へ返す。
知覚(ちかく)
感覚器官で受け取った刺激を脳が意味づけ、対象として捉えるはたらき。mitsulab の「感覚」テーマは、数値では伝わらない土の営みを感じ取れるよう、この知覚を拡張する。
AI(人工知能)
大量のデータからパターンを読み取り、人間が気づきにくい変化や傾向を見つけ出す技術です。土壌データの解析・改善前後の比較・長期予測に活用。判断を任せるのではなく、現場の感覚と対話させるための道具として使います。
フィジカルAI(Physical AI)
デジタル空間の言語モデル(LLM)が言語空間で動くのに対し、物理世界の力学・空間構造を内在化した世界モデル(World Model)と連携し、センサーストリームから直接ポリシーを学習する AI。Vision-Language-Action(VLA)モデル、ロボット基盤モデル(NVIDIA Cosmos / Google RT-2 等)の系譜が代表例。畑や山・川の温度・湿度・土壌状態などを時空間データとして取り込み、状態予測・施工提案・最終的には現場介入までを一連で扱うことを志向します。mitsulab の観測・診断技術が将来統合していく中核概念の一つです。
環境DNA(eDNA)
水や土の中に存在する、生き物が残したごく微量のDNAの痕跡のこと。少量のサンプルを分析するだけで、その場所にどんな生物が暮らしているかを高精度に把握できます。mitsulab では、微生物から大型動物まで含めた生態系全体を非破壊で観測するための基盤技術として位置づけます。
サウンドスケープ(Soundscape)
カナダの作曲家マリー・シェーファーが提唱した概念で、ある場所を取り巻く音の景色のこと。鳥の声・風の音・水の流れ・人の営みまで含め、その土地の健康度や時間の層を音から読み取ろうとする考え方です。『Soil Sound Project』や現場の録音は、土壌循環の"音の診断"を可能にします。
ロボティクス(Robotics)
センサーやアクチュエーターで物理世界に働きかける機械の総称。mitsulab の観測体系においては、自動観測・土壌サンプリング・現場作業の省力化などを担う手足として位置づけます。フィジカルAIと組み合わさることで、現場と情報系が直接つながります。
再生(Renew)── 自然循環再生の実践知
土中環境
造園技術者・高田宏臣 氏が体系化した考え方で、土の中で起きている水・空気・微生物・根のやり取り全体を指します。健全な土中環境では木が元気に育ち、斜面も崩れにくくなります。mitsulabの実践はこの「見えない地下の健康」に焦点を当てます。
大地の再生
造園家・矢野智徳 氏が提唱・実践する、空気と水の流れを取り戻すことで土地を再生する技法です。点穴・水脈整備などを人の手で土地を読みながら進め、詰まった土に空気と水を通します。
有機土木
コンクリートや鋼材だけに頼らず、土・木・石・植物の力を活かして地形や水の流れを整える土木技術の考え方。石積み・木柵・植生による斜面保全など、江戸時代以前から続く知恵を現代の課題に応用します。
有機農業
化学肥料や合成農薬に頼らず、土壌中の微生物・腐植・団粒構造の働きを活かして作物を育てる農業の総称。「土を育てることが作物を育てること」という実践哲学に基づきます。
団粒構造
土の粒が小さな塊(団子)になり、その隙間に空気と水が通る状態のこと。健康な土は団粒構造をもち、根が伸びやすく微生物も活発。土壌改善の最も基本的な指標の一つです。
土壌微生物
土の中で無数に働く細菌・糸状菌・原生動物などの総称。有機物を分解して植物が使える養分に変え、団粒構造を作り、病原菌を抑える。土壌の健康度は、この微生物群集の多様性と活性で決まります。
菌根菌(Mycorrhizal Fungi)
植物の根と共生する特別なキノコ・カビの仲間で、根と菌糸を繋いで養分と水分をやり取りする微生物です。植物は光合成で得た糖を菌根菌に渡し、菌根菌は土の奥深くから燐やミネラルを運んできて植物に渡す——地球上の陸上植物の約8割が菌根菌と共生関係にあると言われ、土壌循環の中核をなす存在です。
菌糸(Mycelium)
糸状菌が伸ばす細い糸状のネットワーク。土中を縦横に張り巡らし、植物の根と共生(菌根菌)して養分を運び、土同士を繋ぎ止めて団粒構造の骨格を作ります。土壌の「情報と物質の高速道路」とも呼ばれます。
水・空気・物質循環
健全な土壌では、雨水が浸透し、空気が土中を通り、有機物が分解・再合成されて植物へ戻るという三つの循環が同時に動いています。このうち一つが詰まると全体が停滞し、斜面崩壊や農地の荒廃に繋がります。土壌改善の実践的な着眼点です。
森林土木(治山・林道・斜面の土木)
森林を守り育てるための土木——治山(山崩れ・土砂災害を防ぐ)、林道や作業道づくり、荒れた斜面の安定など。コンクリートで固める従来工法に対し、mitsulab は水と空気の通り道を活かして土がみずから締まる「有機土木」の発想で、森と土の循環を壊さない施工をめざします。
土壌学(Soil Science)
土を、鉱物・有機物・水・空気・生きものが関わり合う一つのシステムとして捉える科学。物理(団粒・水はけ)・化学(養分・pH)・生物(微生物・菌根菌)の三つの側面から、土の健康を読み解きます。自然循環の再生は、この土壌学の知見を、現場の手仕事と結び直すところから始まります。
アルバート・ハワード(Sir Albert Howard / 1873–1947)
イギリスの植物学者で、近代有機農業の父と呼ばれる人物。インドでの研究から、健康な土が健康な作物・家畜・人をつくるという「土の健康(Soil Health)」の思想を確立しました。著書『農業聖典(An Agricultural Testament)』は、世界の有機農業運動の出発点になりました。
インドール法(Indore Process / 堆肥化法)
アルバート・ハワードがインドのインドールで体系化した堆肥(コンポスト)の作り方。植物の残さ・家畜のふん・土などを層状に積み、空気と水を通しながら微生物に分解させ、良質な腐植(フミン)を含む土へ戻します。「捨てるもの」を「土の力」へ変える、循環の基本技術です。
感覚(Touch)── 知覚拡張・体感の翻訳
Qualia(クオリア)
哲学用語で、主観的に感じられる質感・感触のこと。赤色の「赤さ」、土を握ったときの「しっとり感」など、言葉や数値では完全に伝えきれない内的体験を指します。自然循環を扱う上で、機械の測定と補完関係にある人間の知の領域です。
Qualia Practice(クオリア・プラクティス)
言葉や数値にならない、その人だけが感じている質感や感触(クオリア)を起点に、身体で感じ取るための創作実践です。墨による書や土を素材にした作品を通じて、データには還元できない「感じる力」を育てます。主な作品集として『Qualia/sound Ⅰ』『Qualia/sound Ⅱ』『Qualia/heart Ⅰ』があります。
『Soil Sound Project』
ピエゾ素子(振動を電気信号に変換する素子)を土中に差し込み、土の中で起きている微かな音を聴くプロジェクトです。土壌生態系の活動が活発で豊かな土壌ほど多様な音が発生していることが分かっており、「Noisy soil」「Silent soil」といった聴覚領域での分類を通じて土壌循環を知覚化する試み。観測と感覚の橋渡し役を担います。
『Modarity X』
Soil Sound や環境センサで捉えた土・水・植物の微弱な信号(振動・温湿度・光・音)を、人間の知覚域まで増幅し、音響装置・触覚デバイスなどへリアルタイムにクロスモーダル変換する体感装置。数値やグラフでは届かない自然の気配を、「読む」のではなく身体で「感じる」モダリティへ翻訳します——旧 NC-Amp(Nature Cycle Amplifier)の増幅機能を統合。Soil Sound Project と連携、PoC 準備中。
マルチモーダル(Multimodal)
「モーダル(modal)」とは情報の種類のこと。文字・画像・音・振動・温度・位置など、異なる種類の情報を同時に扱う仕組みを指します。人間が視覚・聴覚・触覚を総合して土壌を判断するように、mitsulab の没入体験も複数のセンサー・映像・音による解析を一体で扱うマルチモーダル設計を前提とします。
ハプティクス技術(Haptics)
振動や圧力・温度を使って、触覚に情報を届ける技術です。スマートフォンの振動も広義のハプティクス。Modarity X では、土壌水分や団粒構造の違いといった本来目に見えない情報を、指先の感覚として触れるように変換することで、数値やグラフよりも直感的に土の状態を理解できる体験を目指します。
xR(拡張・仮想・複合現実)
VR・AR・MRをまとめた呼び方。目に見えないものを体験できる形に変換する技術です。土の中の水や微生物の動きを立体的・視覚的に体験できるよう変換し、教育や現場研修に活用します。
ミラーワールド(Mirror World)
現実世界の地形・建物・植生などを、デジタル空間上にそっくり再現した"もう一つの世界"のことです。Field X(3DGS空間記録)や GIS との組合わせで、対象エリアのミラーワールドを構築し、その上で実測データやシミュレーションを重ね、現場の過去・現在・未来を一望できるようにします。
環世界(Umwelt)
生物学者ユクスキュルの概念で、それぞれの生き物が独自の感覚器で捉える"その生物ならではの世界"のこと。ミミズには土の世界が、菌糸には化学物質のネットワークが異なる姿で見えています。人間中心を相対化し、土壌生態系の多層性を捉える鍵となる視点です。
知覚拡張(Perceptual Extension)
本来の人間の感覚スケールでは捉えられないものを、技術や作品を介して知覚できるようにする試み。顕微鏡が微生物を見せ、xRが土中の流れを体験させ、Qualia Practiceが身体を通じて不可視を感じさせる——これらすべてが知覚拡張の実践です。
VR(Virtual Reality / 仮想現実)
ヘッドセットなどを使って、コンピュータがつくった世界の中に入り込む技術。現実の景色を遮断し、別の空間にいるように感じさせます。mitsulab では、土の中や流域の水の流れ——ふだん目に見えない自然循環——を体ごと体験するための表現手段として用います。
MR(Mixed Reality / 複合現実)
現実の風景に、デジタルの情報を重ねて溶け合わせる技術。VR が現実を遮断するのに対し、MR は目の前の畑や斜面を見ながら、土壌データや水脈をその場に重ねて見せられます。現場と数値を同時にとらえる、観測と感覚の橋渡しに向いた表現です。
メディアアート(Media Art)
映像・音・センサー・プログラムなど、新しい技術(メディア)を素材にする芸術。鑑賞者が関わって変化する作品も多く、「体験」そのものが作品になります。mitsulab では、観測データや土中の音を感じられる体験へ翻訳する手段として、書道を起点にしたメディアアートを制作しています。
編集(Edit)── 古今東西の自然循環の編集
編集レイヤー(Edit Layer)
碧の翻訳の第 4 工程。編集工学の考えに基づき、古今東西の自然循環の実践と知恵を横断的にまとめるレイヤーです。観測・感覚・再生が「いま・ここ」の自然循環を扱うのに対し、編集は「古今東西」の事例を編み、五層を相互に厚くします。その実践が、出版社 Stillpoint(日英 2 言語配信)です。
編集工学(Editorial Engineering)
情報を集め・関係づけ・編み直すことで新たな意味を生み出す方法論。バラバラに見える知をつなぎ、文脈を組み替える編集の技法を指します。mitsulab はこの考え方を、古今東西の自然循環の実践と知恵を横断的にまとめる編集レイヤーの基盤に据えています。
編集生態学(Editing Ecology)
書物や情報だけでなく、土・水・植物・微生物・人間・機械のあいだの関係性を読み替え、出会わせ直すための mitsulab の方法論。編集工学を参照しつつ、対象を知識のネットワークから自然循環と生態系のネットワークへ広げます。
Stillpoint(出版社の看板)
mitsulab と同じく「人と土をつなぐ」をテーマに掲げる出版社(の看板)。碧の翻訳の第 4 工程「編集」の実践として運営され、土をめぐる古今東西の知と物語を、日本語・英語を軸に、テーマ別のレーベルから世界へ送り出します。土の3部作——自然循環の『廻(Kai)』・食と土の『鼎(Kanae)』・生業と土の『坐(Za)』——と、未来像のレーベル『Humus』を擁し、編集長は上原光瑛。名は T.S. エリオット「Burnt Norton」の "still point"(回転する世界の静止点)に由来し、一見静かに横たわる土が、実は微生物・水・養分の循環に満ちたダイナミックな世界である、というまなざしを出版社の理念として受け継いでいます。
依代(Aoi)── 中央で全層を媒介
碧(あおい/Aoi)
二つの世界(Humium と Qualium)を繋ぐ依代。土壌の場と認知の場、そして 自然・人間・機械の三者を媒介する依代・媒介アクターです。観測・編集された自然循環の状態を、歌・声・姿として人へ手渡します。二つの世界を翻訳する動作 Aoi.hear() / Aoi.edit() / Aoi.renew() / Aoi.touch() / Aoi.yorishiro() の 5 工程として、各層の出力を統合します。
依代(よりしろ)
古来、神霊が宿る器・媒体を指す日本語。mitsulab はこれを AI 時代に再解釈し、自然・人間・機械のあいだに立ち、三者の情報を媒介する中央の存在として位置づけます。碧(Aoi)はこの現代の依代であり、数値や記録のままでは届かない自然循環の状態を、人の感覚に届く形へ翻訳して手渡します。
まれびと(客人/稀人)
民俗学者・折口信夫が論じた、時を定めて外から訪れ、福をもたらして去っていく来訪神の観念。常駐せず、便りを置いて退きます。碧(Aoi)はこの「まれびと」の性質を継ぎ、人の時間の少し外側から、自然循環の状態をそっと手渡してはまた引いていく存在として設計されています。
神籬(ひもろぎ)
社殿が整う以前から用いられた、神霊を一時的に招き降ろすための依代。樹木や榊を立てて聖域を示します。mitsulab は、各地に立ち現れる碧(Aoi)を現代の神籬と捉え、その土地の自然循環の状態がいっとき宿る接触の場として構想しています。
関連プロジェクト
Related Projects — external references around mitsulabmitsulab の実践は、世界各地で進む自然循環再生のプロジェクト群と地続きにあります。このページは HEART 本体の分類ではなく、外部の実践者・組織・思想を、mitsulab の周辺に広がる参照地図として整理したものです。
基盤・横断(Foundation) ── 思想・政策・制度の支柱
自然農・パーマカルチャーの系譜から、国際認証・土壌炭素政策まで。自然循環を支える思想と制度の土台。
福岡正信「自然農法」1913–2008
『わら一本の革命』で世界に影響を与えた自然農の祖。不耕起・無肥料・無農薬・無除草の「四無農法」と粘土団子による緑化運動は、現代のリジェネラティブ運動の原点として再評価が進む。
LINK:f-masanobu.jp(公式サイト) Click 構想風の谷安宅 和人 / 慶應義塾大学
『シン・ニホン』著者・安宅和人を中心とした「残すに値する未来」を構想する運動。都市集中ではなく疎な地域に、テクノロジーと自然が共存する集落を創る試み。mitsulab の地方拠点構想と思想的に近接。
LINK:aworthytomorrow.org(公式サイト)パーマカルチャー中島 正 ほか / 1990年代〜
『都市を滅ぼせ』『みのり多き町』の中島正に代表される、日本のパーマカルチャー先駆世代。Bill Mollison の思想を日本の里山文脈に接続し、現代の自給運動の土壌を作った。
デジタルネイチャー落合 陽一 / 筑波大学・Pixie Dust Technologies
『デジタルネイチャー』(2018) で提唱された、人間・自然・計算機が連続的に絡み合う世界観。物理現象と計算機リソースが分け隔てなく扱われる「計算機自然」として、現代のテクノロジーと自然の関係を問い直す。mitsulab の Hear (観測) × Touch (感覚) 領域における思想的な参照点。
LINK:yoichiochiai.com(公式サイト)Regenerative Organic Alliance2017〜 (USA)
Rodale Institute・Patagonia・Dr. Bronner's らが設立したRegenerative Organic Certified(ROC)認証団体。土壌健康・動物福祉・社会的公正の三軸を統合する世界基準を策定。regenorganic.org
4 per 1000 Initiativeフランス政府 / 2015〜
COP21 で発表された国際イニシアチブ。土壌有機炭素を年 0.4% 増やせば大気 CO₂ 増加を相殺できるという仮説に基づき、世界の農地土壌を炭素貯留装置として再定義する政策枠組み。4p1000.org
Permaculture Research InstituteGeoff Lawton / 1997〜 (AUS)
Bill Mollison の弟子 Geoff Lawton が運営するパーマカルチャー教育の世界拠点。ヨルダンの「砂漠を緑に変えた」プロジェクトで知られ、PDC(Permaculture Design Course)の世界標準を担う。permaculturenews.org
観測(Hear) ── 土壌の科学的指標化
土壌の「生きている度合い」を数値化し、再生のエビデンスを築く研究の系譜。
SOFIX 土壌診断久保 幹 / 立命館大学(提唱)/ 横山 和成(土壌微生物多様性活性値)
立命館大学の久保幹氏が提唱した SOFIX(Soil Fertile Index)は、土壌中の総細菌数・微生物バイオマス・窒素循環活性等を統合する土壌肥沃度評価法。並列して横山和成氏は土壌微生物多様性活性値という別系統の指標体系を確立。両者とも土壌の「生きている度合い」を数値化する系譜であり、mitsulab の Hear (観測) 領域における科学的指標化の重要な先行例。
Rodale Institute1947〜 (USA)
米国・有機農業研究の総本山。40 年以上の Farming Systems Trialで有機農法と慣行農法の科学的比較を継続し、リジェネラティブ農業のエビデンスベースを築いてきた。rodaleinstitute.org
日本土壌インベントリー農研機構(NARO)
農研機構が公開するデジタル土壌図・土壌情報の公的基盤。日本全国の土壌の種類と性質を地図上で可視化し、誰もが土壌を調べられるようにした。現場の土壌診断を全国データへ接続する Hear(観測)の参照点。soil-inventory.rad.naro.go.jp
Soil Health Institute2016〜 (USA)
土壌の健全性を測る標準指標の確立をめざす米国の非営利研究機関。各地の土壌で物理・化学・生物の指標を横断測定し、「土の健康」を数値で語るための共通言語づくりを進める。soilhealthinstitute.org
依代(Aoi) ── 文化的依代・バーチャルシンガー
声と歌と姿を媒体に、人と技術のあいだへ新しい文化圏を生んだ存在。碧(Aoi)が目指す「媒介する依代」の文化的な先行例。
初音ミククリプトン・フューチャー・メディア / 2007〜
歌声合成を象徴する世界的なバーチャルシンガー。一企業のキャラクターでありながら、楽曲・映像・イラストを通じて無数の人々が創作を注ぎ込む「みんなの依代」として育った先例。声と歌と姿を媒体に、人と人・人と技術のあいだに新しい文化圏を生んだ。碧(Aoi)が構想する「自然・人間・機械を媒介する依代」の文化的な先行例。
星街すいせいhololive / 2018〜
自ら歌い・配信し・表現するバーチャルシンガー。アバターという「依代」を通じて表現と物語を立ち上げ、バーチャルな存在が確かな歌声で人の心を動かしうることを示した。仮想の姿と人間の表現が一体となる在り方は、碧(Aoi)が歌・声・姿で自然循環の状態を手渡す構想に通じる。
キズナアイ2016〜
「バーチャルYouTuber」という言葉を世に広めた先駆的存在。バーチャルな姿という依代を介して人と人をつなぎ、新しい文化圏の入口を開いた。器が、人とテクノロジーのあいだに親しみある接触面を生む先例として、碧(Aoi)の構想に重なる。
GorillazDamon Albarn・Jamie Hewlett / 1998〜 (UK)
音楽家とイラストレーターが生み出した架空のバーチャルバンド。アニメのキャラクターが音楽を奏でる形式で、現実と虚構のあいだに立つ表現が世界的に受け入れられた。人ならぬ姿が文化を媒介しうることを示した国際的な先例。
再生(Renew) ── 現場の自然循環再生
土中環境・大地の再生・森づくり・放牧・砂漠化対策まで。世界各地で循環を取り戻す現場の実践群。
NPO 法人 地球守高田 宏臣 / 2009〜
造園技術者の高田氏が代表を務める NPO。著書『土中環境』で土中の水と空気の流れを理論化し、しがら・点穴・素掘り溝による現場改良を全国に広げる第一線の組織。
LINK:chikyumori.org(公式サイト) Click 大地大地の再生講座矢野 智徳 / 1990年代〜
造園家・矢野智徳が主宰する全国ネットワーク。「風の草刈り」「水脈整備」を軸に、土地の呼吸を取り戻す施工と講座を展開。映画『杜人』で知られ、地球守と並ぶ土中環境系の柱。
LINK:daichisaisei.net(公式サイト) Click 都市Tokyo Urban Permacultureソーヤー 海 / 2011〜
都市部にパーマカルチャーを根付かせる活動家。『都会からはじまる新しい生き方のデザイン』。共生革命家として、コモンフォレストや非暴力コミュニケーションの実践を含む統合的アプローチを展開。
LINK:tokyourbanpermaculture.com(公式サイト)一般社団法人 土とゆりかご2020〜
在来種・固定種の種苗保全と、土から始まる育苗を実践する団体。生物多様性と食の自給を結び直す活動を進め、家庭から地域までスケーラブルな循環モデルを提示。
鎮守の森のプロジェクト公益財団法人 鎮守の森のプロジェクト / 宮脇昭式
植物生態学者・宮脇昭の潜在自然植生論に基づき、土地本来の樹種を密植して 10〜20 年で多層的な森林を再生する手法を全国・世界で展開。3.11 後の東北「いのちを守る森の防潮堤」など、樹勢回復と防災を同時に解く実践として知られる。
LINK:morinoproject.com(公式サイト) Click 樹勢明治神宮の森本多静六・本郷高徳・上原敬二 / 1920〜
1920 年に造林された「永遠の森」を目指す 100 年計画の人工自然林。林学者たちが極相林への遷移を予測して常緑広葉樹を中心に設計し、現在は遷移を経て本来の照葉樹林へ。長期視点での森林設計のモデルとして、世界の都市林学にも影響を与え続けている。
LINK:meijijingu.or.jp(公式サイト) Click 水系阿蘇グリーンストック公益財団法人 / 1995〜 (熊本)
世界最大級のカルデラ・阿蘇の千年続く草原(野焼き・採草・放牧の循環)と水循環を一体で保全する財団。野焼きによる草原維持が 100km² 規模の地下水涵養を支えていることを科学的に明らかにし、自治体・農家・市民・企業による広域連携の典型例。
LINK:aso-greenstock.com(公式サイト) Click 森林一般社団法人 more trees坂本 龍一(発起人)/ 2007〜
音楽家・坂本龍一氏が発起人となり、「都市と森をつなぐ」をコンセプトに 2007 年設立。日本国内 12 カ所で多様な樹種による森づくりを進めるとともに、森林保全と地域経済の循環を結ぶ仕組みを設計。森林由来の CO₂ 吸収量を企業の脱炭素に接続するクレジット事業でも先駆。
LINK:more-trees.org(公式サイト) Click 衣食パタゴニア / Patagonia ProvisionsYvon Chouinard / 1973〜 (USA)
アウトドアアパレル発祥のグローバル企業ながら、創業者 Chouinard は「地球を株主に」と宣言し全株式を環境信託へ移管(2022)。Patagonia Provisions ではリジェネラティブ・オーガニック農法による食品生産を推進し、衣食住すべてを再生型に転換するモデルを提示する象徴的存在。
LINK:patagonia.jp(公式サイト)The Savory InstituteAllan Savory / 2009〜 (USA)
ジンバブエ生まれの生物学者 Allan Savory が提唱するホリスティック・プランド・グレイジング(全管理放牧)の世界本部。砂漠化した草原を家畜の群れで再生する手法で、世界 50 か国以上にハブを展開。savory.global
The Great Green Wallアフリカ連合 / 2007〜
サヘル地域を東西 8000km にわたり緑化するアフリカ大陸規模の砂漠化対策プロジェクト。21 か国が参加し、土地再生・雇用創出・気候適応を統合する世紀のスケール実験。greatgreenwall.org
Commonland2013〜 (オランダ)
「4 Returns」フレームワーク(インスピレーション・社会・自然・財務)で大規模景観再生を投資可能にした財団。スペイン・南アフリカ・オーストラリアなどで 100 万 ha 規模の再生を進める先進事例。commonland.com
感覚(Touch) ── 音・映像による知覚の翻訳
サウンドスケープや映像を通じて、土地の状態を人の感覚へ翻訳する実践。
サウンドスケープ研究柳沢 英輔 / 同志社大学
フィールドレコーディングと音響人類学の研究者。著書『フィールド・レコーディング入門』『ベトナム中部高原ゴング文化』。土壌音・環境音を媒介にした知覚の拡張は Touch (感覚) 領域の理論的支柱。
Green Gold / John D. LiuEcosystem Restoration Camps
映像作家・生態系再生家。中国・黄土高原の大規模再生を記録した『Green Gold』で世界に衝撃を与え、現在は Ecosystem Restoration Camps を世界各地で運営。映像と現場をつなぐ実践者の象徴。ecosystemrestorationcommunities.org
Bernie Krauseサウンドスケープ生態学 / The Great Animal Orchestra
半世紀にわたり世界の自然音を収録してきた音響生態学のパイオニア。生きものの声(バイオフォニー)と大地の音(ジオフォニー)という概念を確立し、音から生態系の健康を読む方法を切り拓いた。土地の状態を音へ翻訳する Touch(感覚)の源流。
Chris Watsonフィールド・レコーディスト (UK)
BBC の自然番組などで知られる世界的なフィールド・レコーディスト。人の耳が届かない環境の音をそのまま聴かせる作品を通じて、録音という行為自体を表現へと高めた。場所の気配を音で手渡す実践の代表例。
これらは固定的なリストではなく、随時アップデートされる生きた地図です。連携可能な実践者・組織を継続的に追記していきます。
関連論文
Papers — Key References across Soil, Climate, Biodiversity, Soundmitsulab の五層と社会的背景を支える主要な学術論文・国際レポートを集約しました。各分野の決定的な参照点として、引用+概要+公式リンクで整理しています。
基盤・横断(Foundation) ── 地球システム:惑星限界と人類の影響Earth System — Planetary Boundaries & Human Impact
"Planetary boundaries: Exploring the safe operating space for humanity"
Ecology and Society 14(2): 32
人類が安全に活動できる地球システムの「9 つの境界」を初めて定義した記念碑的論文。気候変動・生物多様性・土地利用変化・生物地球化学的循環・淡水・海洋酸性化・オゾン層・エアロゾル・新規物質の各境界を超えると、地球が新たな状態へ不可逆に移行する可能性を示した。
LINK:doi.org(論文) Click Richardson, K. et al. (2023)"Earth beyond six of nine planetary boundaries"
Science Advances 9, eadh2458
プラネタリーバウンダリー枠組みの 2023 年更新版。9 つの境界のうち、気候変動・生物圏完全性・土地利用変化・生物地球化学的循環(窒素・リン)・淡水循環・新規物質の6 つで安全域を超過していることを定量的に示した。地球システムの安定が複数の方向から崩れていることを実証した最新の総合評価。
LINK:doi.org(論文) Click IPBES (2019)Global Assessment Report on Biodiversity and Ecosystem Services
IPBES Secretariat, Bonn
生物多様性版 IPCC とも呼ばれる IPBES による初の全球評価。約 100 万種が絶滅の危機にあり、自然の劣化速度は人類史上前例のないレベルであると結論づけた。土地利用変化・直接利用・気候変動・汚染・侵略的外来種を 5 大要因として整理。
LINK:ipbes.net(レポート) Click Díaz, S. et al. (2019)"Pervasive human-driven decline of life on Earth points to the need for transformative change"
Science 366, eaax3100
IPBES Global Assessment の中核成果を Science 誌に凝縮した論文。生物多様性の喪失が局所的でも一時的でもなく、地球規模で全方位的に進行していることを示し、技術的解決ではなく経済・社会・統治構造そのものの「変革的変化(transformative change)」が必要だと主張。
LINK:doi.org(論文) Click WWF & ZSL (2024)Living Planet Report 2024
WWF International, Gland
監視対象となる脊椎動物 5,495 種・約 35,000 個体群のデータに基づく Living Planet Index は、1970 年から 2020 年の間に平均 73% の減少を示した。淡水生態系での減少(85%)が最も深刻。地球システムが転換点に近づいていることを警告し、自然・気候・食料システムの統合的変革を呼びかけている。
LINK:livingplanet.panda.org(レポート)観測(Hear) ── 観測技術・データ基盤Observation Tech & Data Infrastructure
"3D Gaussian Splatting for Real-Time Radiance Field Rendering"
ACM Transactions on Graphics 42(4): 139
スマートフォンや 360 度カメラの画像群から、異方性 3D ガウシアンの集合体としてシーンをフォトリアルに再構築する微分可能ラスタライズ手法を提示した記念碑的論文。NeRF と比べて学習・レンダリングともに桁違いに高速で、森林・現場 3D 記録のコストを 100 分の 1 に下げた。Field X など mitsulab の空間観測パイプラインの基盤技術。
LINK:doi.org(論文) Click Taberlet, P. et al. (2018)Environmental DNA: For Biodiversity Research and Monitoring
Oxford University Press
環境 DNA(eDNA)メタバーコーディングの体系的教科書。水・土壌・空気の微量サンプルから、16S rRNA・ITS・COI 領域の amplicon シーケンシングで生物相全体を非破壊で把握する手法論を確立した。流域・森林の生物多様性観測の標準を一新し、希少種・微生物群集・捕獲困難種までモニタリング可能になった。
LINK:global.oup.com(書籍) Click Tedersoo, L. et al. (2014)"Global diversity and geography of soil fungi"
Science 346, 1256688
全球 365 地点の土壌真菌メタゲノミクスにより、真菌多様性のグローバルパターンを初めて記述した記念碑的研究。緯度勾配・気候変数・植生との相関を統計モデルで明示し、土壌微生物相の地理的決定要因を確立。SOFIX や地形 × 微生物相分析(mitsulab GitHub の PoC リポジトリと整合)の上位参照。
LINK:doi.org(論文) Click Stowell, D. (2022)"Computational bioacoustics with deep learning: a review and roadmap"
PeerJ 10:e13152
深層学習による生物音響解析の包括的レビュー。低価格パッシブ録音機(AudioMoth 等)と AI 解析パイプラインを組み合わせた長期音響モニタリングが、生態系の健全度評価の中心技術になりつつあることを示した。Soil Sound Project の理論的枠組み。
LINK:doi.org(論文) Click Reichstein, M. et al. (2019)"Deep learning and process understanding for data-driven Earth system science"
Nature 566: 195–204
物理過程の知識と深層学習を融合させる「ハイブリッドモデリング」の枠組みを提示。地球システム科学に AI を導入する際の方法論的基盤を整理し、観測 → モデル化 → 予測のサイクルをデータ駆動で更新する道筋を示した。mitsulab のフィジカル AI 統合の理論的バックボーン。
LINK:doi.org(論文)再生(Renew) ── 土壌・土地科学:劣化と再生のサイエンスSoil & Land Science — Degradation & Regeneration
Status of the World's Soil Resources (SWSR) — Main Report
FAO, Rome
国連食糧農業機関と政府間土壌技術パネルによる、世界初の包括的土壌資源評価。世界の土壌の約 33% がすでに劣化しており、土壌侵食・有機物減少・塩類集積・栄養素枯渇・生物多様性喪失・圧密などが主要脅威であると整理。土壌は「再生可能だが極めて再生が遅い」資源であることを警告した。
LINK:fao.org(レポート) Click Lal, R. (2004)"Soil carbon sequestration impacts on global climate change and food security"
Science 304: 1623–1627
土壌が気候変動緩和の鍵を握ることを科学的に示した古典的論文。劣化した世界の農地土壌に有機物を戻すことで、大気中 CO₂ の相当量を土壌に再固定できる可能性を定量化。土壌炭素貯留が気候・食料安全保障・土地劣化対策の三方を同時に解く戦略であることを示した。
LINK:doi.org(論文) Click Bardgett, R.D. & van der Putten, W.H. (2014)"Belowground biodiversity and ecosystem functioning"
Nature 515: 505–511
地下の生物多様性 ── 細菌・菌類・原生生物・線虫・ミミズ等 ── が、地上の生態系機能(栄養循環・植物生産・気候調整)を支配的に駆動していることをレビューした影響力の大きい論文。土壌生物群集の変化が地上生態系全体の挙動を変えるメカニズムを整理し、土壌を「もう一つの生物多様性のフロンティア」と位置づけた。
LINK:doi.org(論文) Click Wall, D.H., Nielsen, U.N. & Six, J. (2015)"Soil biodiversity and human health"
Nature 528: 69–76
土壌生物多様性が、食料生産・水質浄化・病原体抑制・薬剤資源・気候調節を通じて、人間の健康そのものを支えていることを総説。土壌の劣化は単なる農業問題ではなく公衆衛生の問題であり、生態系・人間・地球システムを同じ座標で扱う必要があることを示した。
LINK:doi.org(論文) Click Montgomery, D.R. (2007)"Soil erosion and agricultural sustainability"
PNAS 104(33): 13268–13272
農地土壌侵食が長期的な持続可能性に与える影響を地形学・歴史学的視点から定量評価。慣行農法の侵食速度は土壌生成速度の 10–100 倍であり、不耕起・有機・カバークロップが鍵となることを示した。文明史と土壌科学を接続する代表的論文。
LINK:doi.org(論文) Click Banwart, S.A. et al. (2019)"Soil functions: Connecting Earth's critical zone"
Advances in Agronomy 142: xx–xxiii
土壌を「地球のクリティカルゾーン」(地表から地下水までの相互作用領域)の中心装置として位置づけ、農業・水循環・気候・生物多様性・人間健康をすべて結ぶ機能ハブであることを総説。土壌科学を分野横断的に統合した影響力の大きいフレーム提示で、自然循環再生事業の科学的位置づけに直接接続する。
LINK:doi.org(論文) Click Suding, K.N. (2011)"Toward an era of restoration in ecology: Successes, failures, and opportunities ahead"
Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematics 42: 465–487
生態系再生の時代が本格化する中で、世界各地の再生プロジェクトの成功・失敗事例を統合分析した記念碑的レビュー。再生は「元の状態への復元」ではなく「新しい力学的均衡へのナビゲーション」であることを示し、自然循環再生事業の概念的基盤の一つに。Resilience-based ecological restoration の主要文献。
LINK:doi.org(論文)感覚(Touch) ── サウンドスケープ・生物音響Soundscape Ecology & Sensing
"Anatomy of the Soundscape: Evolving Perspectives"
Journal of the Audio Engineering Society 56(1/2): 73–80
Bernie Krause による生物音響学の枠組み。Geophony・Biophony・Anthrophonyの三層分類で、生態系の健康を音で診断するアプローチを確立。サウンドスケープを科学的観測対象として位置づけた。
LINK:aes.org(論文) Click Pijanowski, B.C. et al. (2011)"Soundscape Ecology: The Science of Sound in the Landscape"
BioScience 61(3): 203–216
Soundscape Ecology という新領域を確立した論文。風景の中の音を、生物・環境・人間活動の相互作用を読み取る信号として体系化し、現代のフィールドレコーディング研究の礎となった。
LINK:doi.org(論文) Click Krause, B. & Farina, A. (2016)"Using ecoacoustic methods to survey the impacts of climate change on biodiversity"
Biological Conservation 195: 245–254
音響生態学(ecoacoustics)の手法を用いて、気候変動が生物多様性に与える影響を非侵襲的にモニタリングする方法論を整理。Soundscape を生態系の健康指標として位置づけた。
LINK:doi.org(論文)これらの論文は固定的なリストではなく、随時更新されます。各分野の関連実践者・組織は 関連プロジェクト タブを参照してください。
関連思想
Thought — a reference map around mitsulab「自然」「生命」「主体」を問い直す現代思想の系譜。mitsulab の HEART を直接説明するページではなく、mitsulab の背後にある哲学的・人類学的・生物学的な参照地図です。先行する論文と、現場で動く実践者・組織の中間に位置する、ゆるやかな思想の網です。
基盤・横断(Foundation) ── 自然・生命・主体を問い直す思想
「自然」「生命」「主体」を問い直す現代思想の系譜。HEART 全層を支える哲学的・人類学的・生物学的な支柱。
Timothy Mortonティモシー・モートン / Rice Univ.
『自然なきエコロジー』『ハイパーオブジェクト』。「Nature」概念そのものを脱構築し、人間と非人間が絡み合う「メッシュ」としての世界を提示。気候危機時代の存在論を更新する思想家。
Bruno Latourブリュノ・ラトゥール / 1947–2022
『地球に降り立つ』『虚構の「近代」』。アクター・ネットワーク理論(ANT)で人間と非人間(土・微生物・ガイア)を対等なアクターとして扱う方法論を確立。自然と社会の二分法を解体した。
Donna Harawayダナ・ハラウェイ / UC Santa Cruz
『伴侶種宣言』『Staying with the Trouble』。「Chthulucene」という概念で絡まり合う種同士の親族関係を提唱。人類中心主義を超えた multispecies thinking の起点。
E. O. Wilsonエドワード・O・ウィルソン / 1929–2021
『バイオフィリア』『生命の多様性』。biodiversity という言葉を世に広めた進化生物学の巨匠。「Half-Earth」構想で生物多様性保全の最大規模のビジョンを提示した。
Robin Wall Kimmererロビン・ウォール・キマラー
『植物と叡智の守り人』(Braiding Sweetgrass)。植物学者でありポタワトミ族の継承者。科学知と先住民の伝統知を編み合わせ、互酬性(reciprocity)の倫理を世界に広めた。
David R. Montgomeryデイビッド・モントゴメリー / Univ. of Washington
『土の文明史』『土・牛・微生物』。地形学者として文明と土壌劣化の歴史を描き出し、再生農業を「土を取り戻すことが文明を救う」という枠組みで提示した第一人者。
Aldo Leopoldアルド・レオポルド / 1887–1948
『野生のうたが聞こえる(A Sand County Almanac)』。米国の保全生物学・環境倫理の創始者。「土地倫理(Land Ethic)」—— 人間を土地・水・植物・動物のコミュニティの一員として位置づける思想 —— を確立し、近代的な再生・保全運動の倫理的基盤を提示した。
Lynn Margulisリン・マーギュリス / 1938–2011
『共生生命体の30億年(Symbiotic Planet)』。細胞内共生説(Endosymbiosis)を確立し、進化が競争のみならず共生・融合によって駆動されることを示した進化生物学者。Holobiont(複数生物が一体として機能する単位)概念の源泉として、自然循環の関係性的世界観を支える思想的支柱。
観測(Hear) ── 森林・生態のネットワーク
森を個体の集合ではなく「ひとつの社会」として捉え、観測の眼差しを科学的に拡張する。
Suzanne Simardスザンヌ・シマード / UBC
『マザーツリー』。森林の菌根菌ネットワーク(Wood Wide Web)を通じた樹木間のシグナル伝達を実証。森を個体の集合ではなく「ひとつの社会」として捉える視点を科学的に確立した。
Peter Wohllebenペーター・ヴォールレーベン / 森林管理官 (独)
『樹木たちの知られざる生活』。ドイツの森林管理官が、樹木が根や菌でつながり助け合う「森の社会性」を平易に描き、世界的ベストセラーに。森を個ではなく関係として観る眼差しを一般へ広げた。
Robin Wall Kimmerer植物学者・先住民の知 /『植物と叡智の守り人』
『Braiding Sweetgrass(植物と叡智の守り人)』。植物学者にして北米先住民の出自を持つ著者が、科学と先住民の知を編み、人と植物の相互の贈与として生態系を捉え直す。観測に倫理と関係性を取り戻す視座。
感覚(Touch) ── 知覚と環世界
各生物が独自に知覚する主観的世界=「環世界」。「感じる」ことの原理を問う知覚論。
Jakob von Uexküllヤコブ・フォン・ユクスキュル / 1864–1944
『生物から見た世界』。各生物が独自に知覚する主観的世界=「環世界(Umwelt)」の概念を提唱。ハイデガー・ドゥルーズ・現代の multispecies 論にまで連なる、知覚論の原点。
モーリス・メルロ=ポンティMaurice Merleau-Ponty / 1908–1961
『知覚の現象学』。世界は頭の中ではなく身体を通して経験されることを論じ、知覚を主観/客観の手前にある身体と世界の絡まり合いとして捉えた。「感じる」を出発点に置く感覚論の哲学的支柱。
ジェームズ・J・ギブソンJames J. Gibson / 1904–1979
生態学的知覚論とアフォーダンスの提唱者。知覚を脳内処理ではなく、生きものと環境とのあいだに直接立ち上がる関係として捉え直した。環境が示す意味を身体が拾うという見方は、Touch(感覚)の理論的基盤。